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    つなぎ

    k0510_o0720

    DONEレイチュリ🧂🦚
    ワンウィーク お題 手つなぎ、添い寝
    この世界の均衡をたもつ人 ぐらぐら、ぐらぐら。視界が揺れる。いや、いっそ世界が揺れているのかもしれない。咄嗟に手をついた壁に身を委ねて、少しましになったそれに息を吐く。久しぶりに結構やばそうだなぁなんて他人事みたいに思った。
     この後は何があるんだったか。確かあと二つくらい本社での会議があって、その後は客との会合がある。時間的に食事というよりは共に茶を飲む程度になるだろうけれど、引き伸ばされれば時間を口実に会食にまで持ち込まれるだろう。そしてそれが目的なんだろうな、とも思う。向けられ続けているあの視線は、もう嫌なくらいに慣れ親しんだものだから。
    「……かいぎ、行かなきゃ」
     今日の議題はなんだったっけ。確か来週に控えた出張の話で、いや、それは二つ目の会議な気がする。ダイヤモンドが招集した石心だけのものだろうか。もう基石を持っていないんだし、今回だけは見逃してくれないだろうか。なんて、嘘。そんなことをしたら『総監』ですらなくなって、『アベンチュリン』ですらなくなって、ただの奴隷で死刑囚に逆戻りだ。ああいや、戻る、とは少し違うかもしれない。結局アベンチュリンという存在の価値はそこに帰結するというだけなのだ。誰も欲しがらない、ただ見て楽しむだけ、六十タガンバの価値しかない、そんな奴隷。
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