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    みかん

    8hacka9_MEW

    DONE風邪ひいたワタルに虎王がみかんを持ってくる話ワタルが、熱を出した。
    学校からの帰り道、なんだかひどくだるいと思いながら、家へとたどり着いた。ぼうっとしているワタルの様子を見た母は、熱を測り、医者へと連れて行った。喉の痛みや鼻水などはなかったが、とにかく熱が高い。熱さましを飲んだものの、すぐに熱が下がるわけではなく、だるさも抜けなかった。額に氷嚢を乗せ、ワタルは薄暗い部屋の天井を、ぼんやりと眺めていた。
    (……だるい…)
    水を飲もうかと思ったが、そのために体を起こすのも、それを考えるのも、ひどく億劫だった。体が重くて、寝返りをうつのも困難だった。それでも、仰向けより横向きの方が、少しは呼吸が楽になるかもしれないと、ワタルは、どうにかベッドの壁際に、顔と体を向けた。
    息がしやすくなった気はするものの、体のだるさが軽減される訳ではなく、眠ろうとしても、眠れなかった。
    「……しんどい」
    ワタルが、ぽつりと呟いた時だった。
    「寝てるのか?ワタル」
    背後から聞き覚えのある声が聞こえて、ワタルは思わず跳ね起きて、振り返る。けれど、相手の姿を確認する前に力が抜け、ヘナヘナとうずくまってしまった。
    「大丈夫か?」
    ワタルの肩に、手が乗せられる。だ 2896