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    やまつ

    さいか

    MOURNING貴方はやまつばで【 あなたの罪を数えて待つよ 】をお題にして140字SSを書いてください。というお題だったのにどうしても140字に収まらず途中から開き直ったやつ。「お前が俺を好きになったことは間違いだよ、大和。罪だと言ってもいい」「異議あり!内心の自由は憲法で保障されてるぞ?」理不尽に感情を否定されても即座に冷静なリアクションが打てるのは美徳だな。電話越しの声の普通さに感心して俺はひとり頷いた。まあ大和の良いところなんてもっとたくさん知ってるし、指折り数えて列挙して愛してやってもいいくらいなんだけど。思うに、俺の好きな東雲大和っていうのは要するに偶像で、特定個人を特別に愛したりなんかしてほしくなくって、だからやっぱり付き合うとか付き合わないとか全部まとめて白紙にしようっていう、これはそれだけの話なのだ。節度と距離を取って適切に愛とか恋とかしていこーぜ。とか何とか考えてるうちに電話の向こうでがたがたと物音がしていることに気付く。声を掛ける。「なに、なんかそっち騒がしくない?」「うーん、よくわかんないけど今からそっち行くから」ガチャンと扉を閉じる音の次、ごお、と聞こえてきたのは多分風の音。遠く、電車の走る音。スマホを耳に当てたままの大和が着の身着のまま外へ飛び出す映像が嫌でも脳内再生される。「……会いたくないから電話してるんだけど」だなんて心にも無 807