ゆちゃ
326Wall
REHABILIカカルクモナキモンハン(ライズ)クロスオーバーカブユウ。
太刀使いカブさんと新妻受付嬢ゆちゃん。R18です。
地雷ない人向け。いろいろ荒い早朝、中庭から水を使う音がする。伏していた床からはたと起きて、ユウリは障子の先を見やった。朝の光がしらしらと障子紙を照らし、部屋は薄明るい。着崩れた浴衣の襟元を整えながら立ち上がり、裾を払って障子を開け縁側に出た。
雨は昨晩まで続いていた。庭木の一つ一つに名残りの雫が宿って、燦然と朝日を反射している。
庭の右手には井戸があった。見れば夫の姿もそこにある。裸の背が清水に濡れている。伺う端から夫は、汲んだばかりの井戸水をがばと被った。
肩のあたりから湯気が昇るようだ。ひどく張り詰めているのが分かった。早々、狩りに出るつもりなのだ。ユウリは声をかけず、黙ってその一連の動作を見守る。二度、三度、夫は繰り返し水を浴び、最後に深く長いため息をついて
「使うかな」
背を向けたまま低く言った。
「ごめんなさい」
ユウリは身を縮める。
ほつれた襟足の毛を慌てて整えながら、
「邪魔するつもりでは」
「…大丈夫だよ」
カブはたちあがり、水気を拭ってからこちらにやってくる。
「起こしてしまったかな」
首にかけた手拭いを掴みながら、微笑んだ。
「いえ、その」
「無理はしなくていい」
ユウリは、思い切って尋ねた。 4055