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    ウォーロック

    すなの

    DONE庭ナニ+ウォーロック坊ちゃん
    Fluite 結論から言えばウォーロック・ダウリングは反キリストではなかったが、かと言って凡夫というわけでもなかった。父譲りの野心と母譲りの豪胆さは周りの子どもたちから彼を際立たせたし、素直で賢く、恵まれていた。そして、彼を見守ってきた天使と悪魔を五年も騙しおおせた程に悪魔的ないたずらっ子でもあった。
    事の発端は六歳になったウォーロックが探偵もののドラマにハマったことだった。ウォーロックの家には何人もの使用人が暮らしていたが、その中にフランシスという庭師の男がいた。フランシスは少し浮世離れしている変わり者だったが、彼がこの家に来てからというもの庭の薔薇はまるで天使に祝福されたかのように美しく咲き誇り、屋敷に住む者の目を楽しませるようになった。ウォーロック少年もこの男を気に入っていた。彼の身なりは粗末だったが、土に汚れたポケットの中にはなぜかいつも似つかわしくない高級店のバタークッキーやチョコレートが入っているのだ。さて、ウォーロックは探偵ごっこの最中、このフランシスの手元に興味深い謎を発見した。最初は花壇の土に混ざった石の欠片かと思ったが、どうもそうではない。キラキラした細かな輝きが庭師の指に付いている。一体あれはなんだろうか。あの人の善い庭師が屋敷の誰にも秘密で触れているなにか。それは何なのか? ウォーロックは不思議な庭師の秘密を掴めるかもしれないとわくわくした。
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