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    エスプレッソ

    陽炎@ポイピク

    TRAININGエスプレッソの代わりにキスを兄貴の朝は早い。鳥の囀りや目覚まし時計がけたたましく鳴るのが聞こえてくる前に起き上がる。
    プロシュート兄貴曰く暗殺者たる者呼び出しを受けたらすぐに目を覚まさなきゃいけねぇらしい。
    オレはというと寝ぼけ眼のまま瞼を擦り大欠伸をしながらようやくベッドから抜け出した。
    兄貴のスーツに似た黒地にヘリンボーン柄のカーテンを開けると、窓の外には朝を告げる太陽が空を不思議な色に染め上げていた。
    「ボンジョルノペッシ、まだ眠そうだな」
    寝起きのオレのプロシュート兄貴がくしゃくしゃと崩れた髪を乱す。
    「兄貴が起きるのが早過ぎるんですよぉ」
    アパルトメントのドアにあるポストへと投函された新聞を手に取る。リビングへと戻ってきたオレに、兄貴は苦笑しながらホットタオルを投げてきた。
    「取り敢えず顔拭け。いつまでも気の抜けた面してるんじゃねぇぞ」
    上半身裸の兄貴はそのままシャツに袖を通した。
    そんな姿すら格好良くて様になるもんだからオレはタオルで顔を隠した。多分今見惚れた表情になっちまってるんだろう。
    「ほら、ペッシ。タオル寄越せ」
    どぎまぎしてるオレと違って兄貴はいつも通りで。
    「おっ、おう……」
    オレが兄貴へ 1202