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    エンディング

    nachi_osora

    DONE桜木棗様(@na2me84)の神台詞「あんたのことは身体が覚えてるから」から妄想がたぎりにたぎって書き上げたK暁です。
    エンディング後現世に体持ちで戻ってきたものの、暁人くんを『普通の世界』に還してあげたくて塩対応を繰り返すKKと、全部わかってて側にいたくて追いかけてる暁人くんのお話です。
    まぁ塩対応とか言ってますが、書いてるのが私なので最終的には暁人くんの粘り勝ちです。
    全部覚えてる「逃げたって無駄だよKK」
     後ろからかかった声に、KKは大きくため息をつく。
    「もうくんなつっただろうが、クソガキ」
     わざと苛立ちを前面に押し出して顔すら見ずに伝えたのに、大きな子供はけしてめげることがない。これはいったい何度目の問答だろう。
    「あんたが僕を、普通の世界に還そうとしてくれるのはわかってる」
     わかっているならば大人しく言いつけをきけばいいのに、この跳ねっ返りときたら少しも聞きやしない。
     そのまま無言を貫き、いつもと同じく振り返らずに去ろうとしたとき、「でもさ」と暁人が続けた。
    「あんたのことは身体が覚えてるから」
     とんでもないセリフに息を吸い込み損ね、思わずむせて青年を見てしまった。ばちりと視線が合う。久方ぶりに正面から見た暁人は、勝ったとばかりにほくそ笑んでいて腹立たしい。
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    sushiwoyokose

    DOODLEめたふぁ~の読書感想文です 主とルイ エンディングまでの全てのネタバレを含みます 
    主人公の名前は「リンドウ」です。
    彼方へ送る追憶の一束※主人公の名前は「リンドウ」です

    幼少の砌、閉ざされたかの故里で過ごした記憶はひどく曖昧に混濁している。穏やかな風を浴びればほのかな懐かしさが過ぎり、ひとけのない静けさにこれ以上ない安寧を覚えるのは確か。しかし人里離れた森の奥、閉ざされた静かな村を見て胸に滲む感想はといえば御伽噺のようだなんて少し他人行儀なものだ。あるはずの思い出が霞んでいるのは、魂と体の分離があまりに長く続いたせいだろうと説いてくれたのはグルデアだった。どこへでも駆けていく願望を形どった己の記憶に、幼子のまま眠っていた己の記憶が、まだうまく結合し切っていないらしい。
    「よいしょ……っ、と、あいてっ」
    朝露に濡れた草花をかき分け、新緑の空気を胸いっぱいに吸い込んだのも束の間。額に衝撃を感じ、ややあって頭を打ったのだと理解した。呪いから解放され、時を戻した体は遅れた成長期を迎えている。その速度は目覚ましく、昨日はぴったりだったローブが朝起きると丈が足りないなんてザラなことだった。お忍びに出向く際に使っている抜け道も、いくつか通れなくなってしまったものがある。記憶に誘われるようにして潜った木のうろに頭をぶつけたのも、きっと覚えより背丈が伸びてしまっているからに違いなかった。くすくすと微笑むように緑が揺れている。妖精にでも見られたのだろうか、後でガリカに揶揄われなければいいのだが。
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