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    nachi_osora

    @nachi_osora

    GW:T、K暁にゴロゴロしてる。書くのはほぼ固定、読むのは雑食。だいたいけけ受肉してるしアジトメンバー全員わちゃわちゃしています。

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    nachi_osora

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    桜木棗様(@na2me84)の神台詞「あんたのことは身体が覚えてるから」から妄想がたぎりにたぎって書き上げたK暁です。
    エンディング後現世に体持ちで戻ってきたものの、暁人くんを『普通の世界』に還してあげたくて塩対応を繰り返すKKと、全部わかってて側にいたくて追いかけてる暁人くんのお話です。
    まぁ塩対応とか言ってますが、書いてるのが私なので最終的には暁人くんの粘り勝ちです。

    #K暁

    全部覚えてる「逃げたって無駄だよKK」
     後ろからかかった声に、KKは大きくため息をつく。
    「もうくんなつっただろうが、クソガキ」
     わざと苛立ちを前面に押し出して顔すら見ずに伝えたのに、大きな子供はけしてめげることがない。これはいったい何度目の問答だろう。
    「あんたが僕を、普通の世界に還そうとしてくれるのはわかってる」
     わかっているならば大人しく言いつけをきけばいいのに、この跳ねっ返りときたら少しも聞きやしない。
     そのまま無言を貫き、いつもと同じく振り返らずに去ろうとしたとき、「でもさ」と暁人が続けた。
    「あんたのことは身体が覚えてるから」
     とんでもないセリフに息を吸い込み損ね、思わずむせて青年を見てしまった。ばちりと視線が合う。久方ぶりに正面から見た暁人は、勝ったとばかりにほくそ笑んでいて腹立たしい。
    「オマエなぁ…」
     誤解を招くようなことをしみじみと言うなと告げれば拗ねたように「事実だし」と言う。
    「あの夜のことも、あんたの気配も、全部ここにあるんだ」
     だから戻れるわけがないんだと、なぜか嬉しそうに笑う若者に頭が痛くなってくる。
    「~~~~っ! こっちの気もしらねえで」
    「お互い様だろ。だからKK」
     責任とってよ、とからかい混じりに言われた一言が存外真摯な響きに満ちていて。年下の手が少しだけ震えていることに今更気づき、KKは己の負けを悟ったのだった――。
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    nachi_osora

    DONEけけにプレゼント買いたくて地下アイドルすることになったあきとくんの(アホな)お話。のはずだったんですがシリアス長編ルートになりました。
    最後はハッピーエンドです!
    秘密と、嫉妬と、愛の歌 KKに何かプレゼントを贈りたい。そう思いついたのはいつだったか。
     KKは暁人の師であり相棒でありそして恋人だ。長い夜を越えて二十以上も年上の彼とそういう関係になってしばらくたつ。本来だったら付き合うどころか出会うことすらなかったような違う世界の男だが、今の暁人にとっては誰にも渡せない大事な人だ。
     さて話は戻る。そうプレゼント、プレゼントだ。歳が離れてることもあり、あまり同年代の友人たちのような付き合い方をしていないが、プレゼントくらい渡しても罰は当たらないだろうと暁人は思ったのだ。
     スマートフォンでブランド物の財布や時計を眺めては、その値段に溜息をついてしまう。暁人に甘いKKのことだ、きっと何を贈ったって喜んでくれるに違いない。だけど彼の年齢を考えれば、あまりにも安っぽいものは似合わないだろう。かといって暁人の財布には厳しすぎる額だ。確かにKKと共にアジトのメンバーとしてバイトするようになってから以前よりも懐具合は楽になったが……目下暁人は学生なのでなかなか苦しい。
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    DOODLE #毎月25日はK暁デー 
    お題【初デート】
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     渋谷駅前、かの有名な交差点は深夜になっても人も車も途切れることはない。煌々と輝くモニター画面には雑多な情報が流され続け、色鮮やかなLEDに彩られた看板は星の光をかき消すように輝いている。夜の闇さえ寄せ付けない光の奔流は、月の存在までも薄く儚いものに変えてしまったようだ。
     信号が青に変わると一斉に人の流れが動き始め、それぞれの進行方向へと、人々が双方向に入り交じりながら滔々と流れていく。その人混みから少し離れて道路を眺めていた青年が、隣に立つ男に話しかけた。
    「ここだったよね、KK」
    「ああ、そうだったな」
    あの夜、二人が『運命的』に出会った場所がここだった。

     
    「ねぇ、夜の散歩に行かない?」
    暁人がそう声をかけてきた。正直なところ面倒だな、とKKは思った。もう飯も食って風呂もはいって、後は寝るだけ、という状態だ。出来ることならこのまま暁人を寝室まで引っ張って行って、さっさと押し倒したいところだが。まるで飼い主に散歩をねだる犬のような目で見つめられては、異を唱えることなど出来ようはずがない。甘いな、俺も。そう思いながら答える。
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    na2me84

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    sensory adaptation 雨の夜が明け家族とも一夜の相棒とも別れて、僕は日常に戻ってきた。妹を取り戻すことは出来なかったから、今までと全く同じという訳にはいかないだろうけれど、とにかく僕は一人生き残ったわけだ。それに意味があるかはまだ分からない。それでも、とりあえず僕がやらなければいけない事がまだ残っている。向こうで両親と共に旅立つのを見送った妹の現世での抜け殻に病院で対面し、身体も両親の元へと送り出した。その日は青空にふわりと薄い雲が浮かぶ、良く晴れた日だった。この世のしがらみを全て捨てて軽くなった妹は、きっと両親と共に穏やかに笑っているだろう。そうであって欲しい。

     追われるように過ごした日々が終わってふと気が付くと、これからどう生きていけばいいのかすら何も考えつかなくて、自分が空っぽになったように感じた。ほとんど物の無い空虚な部屋を見回して、置きっぱなしになっていたパスケースに目が止まる。すっかり忘れていた。あの夜の相棒の形見、最期に託された家族への伝言。これを片付けなくては。彼とは出会いから最悪で途中も色々あったが、最終的にはその関係は悪くなかったと思う。結局のところ、僕にとっても彼にとっても失うものばかりで、得るものの少ない結果だったとしても。
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