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    オーエン

    mhyk_tow

    DONEオーエン視点。
    一月のミスオエ新刊のミスオエになるまでの長い道のり。
    まずはリケから堕とすオーエン。終末教団と司祭様殺し。
    不義を喜ばないで、真理を喜ぶ。5.不義を喜ばないで、真理を喜ぶ。

     手袋の下に隠れた指輪を、もう片方の指で確かめながらオーエンは鼻歌を歌って、市場を眺めていた。箒のうえから見下ろす人間たちの忙しない動きを見ているのは活力が湧き出てくるものだ。
     中央の国の人間はいい意味で平均的だ。南ほど平和ボケもしていないし、西のように狂ってもいない。東のように根暗で陰湿でもないし、北にいる人間ほど屈強でもない。どの文化もそれなりに育って進んでおり、よく見える欠点とすれば身分の差や貧困の差であろうか。城下町の近くは、それなりに栄えてはいるが、遠くなっていけばいくほど、王子様の知らないような問題ある場所なんて、たくさんある。
     オーエンはミスラとの久しぶりのごっこ遊びに浮かれていた。賢者の魔法使いになる前も、一緒にこうやって遊んだことがある。あそこの魔法使いを仕留めるのは、どちらが早いかなんて競ってみたり、レアな魔法具を見せ合って、どちらがより高値で売れるかでマナ石をかけたり、そんなくだらないことでよく遊んでいた。今回の遊びは、一番面白いかもしれないと思った。純粋で美しいものを汚していくのは、生まれながらに生き物が抱く背徳感なのかもしれない。
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    水野しぶき

    MOURNING【ミスオエ♀】わたしの窓
    学パロ オーエン先天性女体化 モブ視点
    モブ女とミスオエ♀の話 女はそれはそれはたいそううつくしい女でいて、わたしは女の持つなにもかもに、炎のような嫉妬心を抱いていたのでした。ただの火ではなく、それはたしかに炎なのでした。炎という字は、火がふたつ重なって、炎と読むけれど、ふたつでは到底足りないほどに、めらめらと燃え盛っているのでした。

     わたしが女をはじめて見たのは、中学二年生のときでした。女は転校生でした。修学旅行もおわり、そろそろ受験に本腰を入れようと、教師が必死になって生徒たちを鼓舞していたころの転校生でした。そんな中途半端な時期に転入してきたというのに、わたしの同級生は皆、女のことを覚えているのでしょう。一生、わすれることはないのでしょう。
     女が教室に一歩足を踏み入れた瞬間、教室の喧騒がしゅるしゅると蛇のようにまるまってゆき、誰もが息を呑んで、女の一挙一動に視線をそそぎました。あれほどまでに〝一致団結〟をスローガンに掲げる二年一組の生徒が団結したことはなかったと思います。合唱コンクールでも、体育祭でも、おそらく球技大会でもなかったと思います。
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