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    セカイ

    フォ……

    TRAINING司のセカイに咲いた花

    お題「僕が愛した薔薇」
    15分トレーニング 3

    1238文字(所要時間約3分)
    「おや?」

     神代類は、思いがけない光景に思わず小さな声を漏らした。
     ワンダーランズ×ショウタイム、練習時間の合間に司のセカイを散歩していた時の事だった。

     あいも変わらず派手で、にぎやかすぎるセカイ。
     けれど、それが彼らしくて本当に面白く、類は少しの暇があればその場所を散歩していたのだが。

    「……こんな所、前にはなかったはず……?」

     類が見かけたその場所は、あまりにも小さな花壇であった。
     たった一本の赤いバラの花がその中央に咲いていて、それを取り囲むようにこの世界には少しだけそぐわないようなシックな色の囲いで囲まれている。
     このセカイといえば、ぬいぐるみも花も、全てがカラフルでにぎやかで、なんなら顔や感情だって持っている者たちばかりであったのに。しかしこの場所の花ときたら、それとは全く違う、しんと静かで大人のようで、ひんやりと冷えているような印象さえあるのだった。

     一歩、その場所に歩んでみると、そこだけが少し陰っているようにも見えて、不思議な気持ちがする。
     一瞬これが、司の抱える何かしらの闇なのかもしれないとは思ったが、この場所の変わらぬ心地よさから顧みてもみ 1287