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    テキスト

    _iikkrnggett

    DONEペーパーウェル11参加作品のテキスト版です
    (くれぐれも注意事項)
    二次ではなく一次創作です
    全年齢でブロマンスラインにしてありますが
    本人はのちのちBLを想定して書いています
    苦手な方はご遠慮ください
    ちなみに
    いつぞやのモブ目線のやつ(https://poipiku.com/3510961/7471604.html)とほぼ同じ世界線ですが
    おっモブは出ません
    何でも許せる方のみどうぞ
    待ては甘露の時薬「いってらっしゃい。気をつけてね」
    「うん、わかってる、行ってきます」
     不安を隠しているのがうっすら感じ取れる母親の見送りとはうらはらに、小野寺朔哉は足取りも軽く、玄関を出た。外はそろそろ宵の内、勤めに出ている家族が帰宅してもおかしくない頃合いだが、今日の父は残業、六つ年上の姉は同僚とのちょっとしたガス抜きカフェがあるとかで、ともに不在である。まぁだいたいいつも通りなので気にすることではないが。愛用の原付を素通りして門を開け、すぐ脇に停められた水色の軽自動車に乗り込む。迎えに来たのは朔哉の(夜勤)バイト先のコンビニがある駅の係員、小此木花騎(もとき)(28才)。まだ着任して一年も経っていないが、その人当たりのよさと、爽やかそうな見た目もあって、だいぶ地元に馴染んできているように思える。そして朔哉にとって本来はコンビニ利用客とバイト店員、ごく稀に電車利用客と駅係員でしかなかったが、何かと顔を合わせることもあって、たまに食事をともにするくらいの仲にはなっており、きょうだいが姉しかいない彼に降ってきた兄のような感覚で接している。
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    yugayuga666

    DONE【小説】憧憬/さとあす
    テキストver.です。

    画像ver.
    https://poipiku.com/7817908/90
    憧憬「最近、すっかり暑くなりましたね。明日ノ宮先生」
     そう言ってぐい、と向かいのソファで麦茶を飲み干す彼の額には確かに、大粒の汗が滲んでいた。
    「そうか、もうそんな季節か」
     正直、小説家という仕事柄、この家から殆ど外へ出ない私にとっては、季節など些末な問題であった。常に空調の効いた室内の温度は一定に保たれ、私から四季という概念を奪って久しい。それでも、彼が──佐藤入間が私の担当編集となってからは、彼の運んでくる風が、言葉が、全てが──鮮やかな世界を見せてくれた。
     それが、私は、嫌いではなかった。



    「そういえば先生、ポストにこんなチラシが」
     傍らへ鞄や上着を置くのも早々に、一枚のいかにもといった光沢紙を机上へ差し出す。他人の郵便物など放っておけばよいものを、と初めは煩わしく思っていたが、付き合いが長くなるにつれ不要なDMの類は勝手に処理してくれていたり、興味を唆る様なものはこうして話題にあげてくれたりと、今では寧ろ有り難い。そんな彼のお眼鏡に叶ったらしい紙きれを覗き込む。それは、色とりどりの花火を背に目がチカチカする配色のゴシック体で『納涼祭』と書かれた、この辺りの自治体が執り行っている夏祭りの知らせだった。
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