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    ドクター

    白い桃

    DONEドクターがとっても好きなイグセキュターと、そんな彼に絆されたけど自分もちゃんと想いを返すドクターのお話。

     
     先導者の時もカッケーとは思っていましたが、そこまで推し!って程じゃなかったんです。
     イベントと聖約イグゼキュターに全てやられました。めっちゃ好きです。天井しました。ありがとうございました。
    その唾液すら甘いことその唾液すら甘いこと


     ラテラーノに暮らすサンクタは、その瞳まで甘くなるのだろうか。
     否、もう一つ追加する箇所があった。瞳だけではなく、声まで甘くなるのだろうか、とロドスのドクターはラテラーノにおわすであろう教皇殿に抱いてしまった疑問をぶつけたくて仕方がなかった。何故かと言われれば、自身の背後に居るサンクタ──イグゼキュターの視線もその声色も、入職当初とは比べ物にならない位に、それこそ砂糖が煮詰められているのか? と言えそうな程に熱が込められているからなのだけれど。
     
     教皇に問い合わせれば執行官とかのクーリングオフとかって受け付けてるのかしら。若しくはバグ修正。他の子達に聞かれたら大不敬とかでぶん殴られそうだな。なんて余計な事を考えながら、手元の端末を弄っていれば後ろから「ドクター」と名前を呼ばれたので振り返る。
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    フカフカ

    DONEK2/ドクターTETSUと和久井くんの話/ちょこちょこ一人前和久井くんと会っておしゃべりしてるらしいT先生/高層ビルの展望室は景色がいいね/養い子の望みがなんなのか分かんないなと思っている闇医者がいる
    ヴェイパーウェイヴ  エレベーターの小部屋はすばやく天上を目指す。扉を閉じ切り、和久井をひっそりと世界すべてから隠し、隔てて、ごうごうと音を立てて階を上がっていく。室内に和久井の他に人はなく、ひとつ階をすぎるごとに、階数表示ボタンが橙に光る。壁にもたれて、ガラス張りの窓から外を眺めやる。真珠色の空、雲の八重垣、塵屑の如くに他愛なく小さな街並み、人々、ほんの数センチばかりをのろのろと這う自動車の群れ、それぞれがずんずんと和久井から離れていく。すべてが和久井から剥がれていく。
     地上四十階を過ぎてはもはや、何も見えない。過去に暮らした塔のような住まいよりもずっと高いところへ来た。
     急な高所への移動のせいで一時的な聴力の鈍麻を覚える。ふ、と目の前が翳る。次いであえかなベル音が響いて、扉が左右に裂けた。和久井は壁から背を浮かせ、意識して幾度か唾を飲みながら小部屋を後にする。踏み出した右足がやけに柔らかな絨毯に沈む。エレベーターホールはどこか無機質な匂いに包まれている。背後で、和久井を吐き出したばかりの小部屋がしるしると地上目指して降りていく気配がある。
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