ヌビア
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DOODLE【ヌビアの子】創作シリーズ!複数キャラの誕生日かぶり セーヌ編 カステルさんといっしょセーヌ誕アタシは高校の校舎を出ると、勢いづけて走る。
目指すはヌビア学研究所附属図書館、その解剖生理学分野スペース事務室。
そこに、今日会いたいと思っている人────アタシと同じヌビア解剖生理学分野で実験対象になることの多い【ヌビアの子/スタミナ】─────セーヌがいるはずだ。
図書館そのものまでは、しっかり走ればものの1分程度で辿り着く。息なんか切れるはずもない。むしろ、この玄関から件の事務室まで移動するほうが大変だった。
つくづくこの図書館は縦にも横にも広い。(アタシにはそれら全てを把握しきれないほど多くの)ヌビアの名を冠する様々な学問にまつわる蔵書が収められているのだから、当然、図書館も巨大になるというものだ。ヌビア解剖生理学なんかは比較的マイナーな学問なのだが、それでもその蔵書だけで、広大な図書館の半フロア分が埋まってしまう。ヌビア学、ひいてはヌビアそのものの偉大さを思い知らされる。
2721目指すはヌビア学研究所附属図書館、その解剖生理学分野スペース事務室。
そこに、今日会いたいと思っている人────アタシと同じヌビア解剖生理学分野で実験対象になることの多い【ヌビアの子/スタミナ】─────セーヌがいるはずだ。
図書館そのものまでは、しっかり走ればものの1分程度で辿り着く。息なんか切れるはずもない。むしろ、この玄関から件の事務室まで移動するほうが大変だった。
つくづくこの図書館は縦にも横にも広い。(アタシにはそれら全てを把握しきれないほど多くの)ヌビアの名を冠する様々な学問にまつわる蔵書が収められているのだから、当然、図書館も巨大になるというものだ。ヌビア解剖生理学なんかは比較的マイナーな学問なのだが、それでもその蔵書だけで、広大な図書館の半フロア分が埋まってしまう。ヌビア学、ひいてはヌビアそのものの偉大さを思い知らされる。
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DOODLE【ヌビアの子】創作シリーズ!明日がうちのこ二人の誕生日なので その一人、ラサちゃんの話です 登場人物はラナークです
ラサ誕今日は、日曜日だと言うのに実験があった。
被験者は2名。【ヌビアの子/優しさ】であるオレ、つまりラナーク・クライドと、【ヌビアの子/博愛】であるラサ・リンカだ。
ヌビア理工学、精神被干渉系統の脳波実験を受けてきた────というと、どうも長ったらしくややこしい。要は、『他の人の言ったことや考えたことに影響を受ける【ヌビアの子】は、その時どんな脳波の状態にあるのかを観察します』ということだ。
色々な機械が繋がったヘルメットを被ったまま問答を繰り返すこと1時間。それからやっと解放され、部屋から出る。
「ふぁー、今日もすごかったねぇ」
「せやなぁ」
廊下の長椅子にぐったりと座ると、同じように被験者であったラサがそう言いながら長い息を吐いた。自分よりも年上ではあるが、一回り小さな体。ヌビアの子の誰よりも穏やかで、柔らかな雰囲気の持ち主。そんなラサに、あの厳ついヘルメットは、つくづく似合っていなかった。少しだけ、憐憫に似た気持ちが湧く。
3211被験者は2名。【ヌビアの子/優しさ】であるオレ、つまりラナーク・クライドと、【ヌビアの子/博愛】であるラサ・リンカだ。
ヌビア理工学、精神被干渉系統の脳波実験を受けてきた────というと、どうも長ったらしくややこしい。要は、『他の人の言ったことや考えたことに影響を受ける【ヌビアの子】は、その時どんな脳波の状態にあるのかを観察します』ということだ。
色々な機械が繋がったヘルメットを被ったまま問答を繰り返すこと1時間。それからやっと解放され、部屋から出る。
「ふぁー、今日もすごかったねぇ」
「せやなぁ」
廊下の長椅子にぐったりと座ると、同じように被験者であったラサがそう言いながら長い息を吐いた。自分よりも年上ではあるが、一回り小さな体。ヌビアの子の誰よりも穏やかで、柔らかな雰囲気の持ち主。そんなラサに、あの厳ついヘルメットは、つくづく似合っていなかった。少しだけ、憐憫に似た気持ちが湧く。
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DOODLE【ヌビアの子】創作シリーズ、前日譚今回は美貌くんとそのお兄さんの話です
集合前夜〜美貌編〜『5分後に部屋に行く』
それは、実の弟に送ったメッセージだった。
*****
「入るよ」
メッセージを送ってから、きっかり5分後。私は、弟の部屋の戸を叩く。
『どうぞ』とも『嫌だ』とも返事のないドアを開ければ、日差しの差し込む窓の前に人影があった。人影は、目の部分を切り取っただけの大きな紙袋を被っている。
「部屋は────……片付いたみたいだね」
私は呟いた。見渡した部屋の中は、3つの段ボールを除いて、すっきりと殺風景なものになっている。床も、壁も、転居したばかりの頃と何ら変わらない。
「……出ていくんだから、そりゃ、片付けるよ」
紙袋の人影は、少し籠もった声で吐き捨てた。彼の部屋は、昨日までやや雑然としていたのだから、よく片付けたものだ、と思う。
1986それは、実の弟に送ったメッセージだった。
*****
「入るよ」
メッセージを送ってから、きっかり5分後。私は、弟の部屋の戸を叩く。
『どうぞ』とも『嫌だ』とも返事のないドアを開ければ、日差しの差し込む窓の前に人影があった。人影は、目の部分を切り取っただけの大きな紙袋を被っている。
「部屋は────……片付いたみたいだね」
私は呟いた。見渡した部屋の中は、3つの段ボールを除いて、すっきりと殺風景なものになっている。床も、壁も、転居したばかりの頃と何ら変わらない。
「……出ていくんだから、そりゃ、片付けるよ」
紙袋の人影は、少し籠もった声で吐き捨てた。彼の部屋は、昨日までやや雑然としていたのだから、よく片付けたものだ、と思う。
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DOODLE【ヌビアの子】創作シリーズ!今回は前日譚的な感じで。ブレーン従兄妹の話です。
集合前夜〜従兄妹編〜玄関の外まで客人を送り、深々と頭を下げる。相手が見えなくなるまで、それを続ける。
一般的で基本的な礼儀を済ませると、傍らで同じようにしていた従妹が、大きく息を吐きだした。
「〜〜〜っ…!」
それから私に紅潮した頬を見せ、赤と黒の眼をきらきらと煌めかせる。ぱくぱくと唇を開けたり閉めたりしたかと思うと、捲し立てるように叫んだ。
「聞きました…!?聞きました!?聞きましたよね、ねぇ、ハンザ!」
「あぁ、聞いていたとも。お前が興奮しそうな内容だということも分かっている。だが落ち着きなさい、はしたない」
頭一つ低いところで、ぴこぴこと触覚めいたリヨンの髪の毛が揺れる。ここまで無邪気に興奮する姿は、久しぶりに見た。最後に、リヨンのこんな姿を見たのは、確か、三年前。ヌビア没後500年を記念して、ヌビア学研究所が大々的に設置されるという報せを聞いたとき以来だろうか。
4604一般的で基本的な礼儀を済ませると、傍らで同じようにしていた従妹が、大きく息を吐きだした。
「〜〜〜っ…!」
それから私に紅潮した頬を見せ、赤と黒の眼をきらきらと煌めかせる。ぱくぱくと唇を開けたり閉めたりしたかと思うと、捲し立てるように叫んだ。
「聞きました…!?聞きました!?聞きましたよね、ねぇ、ハンザ!」
「あぁ、聞いていたとも。お前が興奮しそうな内容だということも分かっている。だが落ち着きなさい、はしたない」
頭一つ低いところで、ぴこぴこと触覚めいたリヨンの髪の毛が揺れる。ここまで無邪気に興奮する姿は、久しぶりに見た。最後に、リヨンのこんな姿を見たのは、確か、三年前。ヌビア没後500年を記念して、ヌビア学研究所が大々的に設置されるという報せを聞いたとき以来だろうか。
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DOODLE【ヌビアの子】やっぱり名前のあるモブが出張る同級生〜1年生編〜突然ですけれど、自己紹介をしましょう。
私の名前は、オデット・オーリン。ヌビア学研究所附属大学の附属高校1年生です。
ところで、オーリンという名字に聞き覚えはありませんか?
……なんですって、無い?
貴方、それでも少しはヌビア学を修めているのでしょうね?…まぁいいです。貴方のような愚民が、同じヌビア学研究所の地面を踏んでいると思うだけで怖気がしますけれど、この私の優しさに免じて許して差し上げます。
我が母は、あらゆるヌビア学の統括をする、通称『六幹部』の第5位。同時に、このヌビア学研究所附属大学附属高校の理事長でもあります。すなわち私は、理事長令嬢にして、幼少期よりヌビア学を叩き込まれたエリート中のエリートなのです。ちなみに兄のオデル・オーリンは、本校生徒会長でもありますわ。勿論、次々期生徒会長は間違いなく私。
3032私の名前は、オデット・オーリン。ヌビア学研究所附属大学の附属高校1年生です。
ところで、オーリンという名字に聞き覚えはありませんか?
……なんですって、無い?
貴方、それでも少しはヌビア学を修めているのでしょうね?…まぁいいです。貴方のような愚民が、同じヌビア学研究所の地面を踏んでいると思うだけで怖気がしますけれど、この私の優しさに免じて許して差し上げます。
我が母は、あらゆるヌビア学の統括をする、通称『六幹部』の第5位。同時に、このヌビア学研究所附属大学附属高校の理事長でもあります。すなわち私は、理事長令嬢にして、幼少期よりヌビア学を叩き込まれたエリート中のエリートなのです。ちなみに兄のオデル・オーリンは、本校生徒会長でもありますわ。勿論、次々期生徒会長は間違いなく私。
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DOODLE【ヌビアの子】高校生組と同級生の話 モブ(だけど名前がある)視点同級生の話(3年生編)突然だが、自己紹介をしよう。
僕の名前は、オデル・オーリン。ヌビア学研究所附属大学の附属高校3年生にして、本校生徒会長を務めている。
ところで、オーリンという名字に聞き覚えはないだろうか?
……なに、無い?
貴様、それでも少しはヌビア学を修めているのだろうな?…まぁいい。貴様のような愚民が、同じヌビア学研究所の地面を踏んでいると思うだけで怖気がするが、この僕の優しさに免じて許してやろう。
我が母は、あらゆるヌビア学の統括をする、通称『六幹部』の第5位。同時に、このヌビア学研究所附属大学附属高校の理事長でもある。すなわち僕は、理事長子息にして、幼少期よりヌビア学を叩き込まれたエリート中のエリートなのだ。
全ては、ヌビア復活の後の世界のため。
2627僕の名前は、オデル・オーリン。ヌビア学研究所附属大学の附属高校3年生にして、本校生徒会長を務めている。
ところで、オーリンという名字に聞き覚えはないだろうか?
……なに、無い?
貴様、それでも少しはヌビア学を修めているのだろうな?…まぁいい。貴様のような愚民が、同じヌビア学研究所の地面を踏んでいると思うだけで怖気がするが、この僕の優しさに免じて許してやろう。
我が母は、あらゆるヌビア学の統括をする、通称『六幹部』の第5位。同時に、このヌビア学研究所附属大学附属高校の理事長でもある。すなわち僕は、理事長子息にして、幼少期よりヌビア学を叩き込まれたエリート中のエリートなのだ。
全ては、ヌビア復活の後の世界のため。
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DOODLE【ヌビアの子】トゥニャとエルベの話です眠れぬ夜も悪くないとぅるっとぅ。
トゥニャの持つ携帯電話が、そんなメッセージ着信の音を立てた。
「ん?」
トゥニャはゲームをポーズ画面に切り替えると、椅子を軋ませながら携帯電話に手を伸ばす。
音に機敏なトゥニャが通知音を入れたままにしている相手というのは、そう多くはない。研究所からの緊急マークの付いたメッセージか、余程仲の良いヌビアの子か、のどちらかだ。トゥニャが携帯電話を取ると、そこには後者を示す名前が表示されていた。
「【記憶】男」
トゥニャは表示された『エルベ』の代わりに、その男が持つ物の名前を呟く。ボタンを一つ押して、メッセージ画面を開いた。
『トゥニャ、今起きてるか?』
トゥニャはそのメッセージを読んでから、時計を見上げた。指し示している時刻は既に2時を回っている。なるほど、ヌビアの子は、普通は夜型になどなりようがない。研究員身分の基本出勤時間が9時から17時なのだから、当たり前だ。とはいえ、ネットゲームの世界に身を投げることを趣味としているトゥニャにとっては、今はまだまだゴールデンタイムだ。
4081トゥニャの持つ携帯電話が、そんなメッセージ着信の音を立てた。
「ん?」
トゥニャはゲームをポーズ画面に切り替えると、椅子を軋ませながら携帯電話に手を伸ばす。
音に機敏なトゥニャが通知音を入れたままにしている相手というのは、そう多くはない。研究所からの緊急マークの付いたメッセージか、余程仲の良いヌビアの子か、のどちらかだ。トゥニャが携帯電話を取ると、そこには後者を示す名前が表示されていた。
「【記憶】男」
トゥニャは表示された『エルベ』の代わりに、その男が持つ物の名前を呟く。ボタンを一つ押して、メッセージ画面を開いた。
『トゥニャ、今起きてるか?』
トゥニャはそのメッセージを読んでから、時計を見上げた。指し示している時刻は既に2時を回っている。なるほど、ヌビアの子は、普通は夜型になどなりようがない。研究員身分の基本出勤時間が9時から17時なのだから、当たり前だ。とはいえ、ネットゲームの世界に身を投げることを趣味としているトゥニャにとっては、今はまだまだゴールデンタイムだ。
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DOODLE【ヌビアの子】12月26日!ハンザお誕生日おめでとう!誕生日がここなのを忘れて前にクリスマスネタを入れてしまったせいで妙に苦労しました 自滅です
ハンザ誕「「ハンザくんお誕生日おめでとーっ♡」」
「……感謝する」
ハンザは、半分呆然とした心地ながらも、カリスマ双子にそう返事をした。
ここは、居住区内にある集合住宅。ハンザの住まう部屋の入口である。
12月26日、午前8時、カリスマ双子がいきなり押しかけてきた。かと思えば誕生日祝の文句とともにプレゼントを押し付けてきたのであった。
「これね、ハンドクリームなの」
「ハンザくん、手が荒れてるみたいだったから」
「香りはないから、安心してね」
「もし気に入ったら教えて!どこで買ったか教えてあげるねっ♡」
双子は入れ代わり立ち代わり、ハンザに言葉を掛ける。ハンザはそれに相槌さえ入れる暇なく、ともかくと頷きを繰り返す。
「「じゃっ、アイちゃんとテーネからのプレゼントでした!素敵な一年になりますように♡それから、良いお年をっ♡」」
3053「……感謝する」
ハンザは、半分呆然とした心地ながらも、カリスマ双子にそう返事をした。
ここは、居住区内にある集合住宅。ハンザの住まう部屋の入口である。
12月26日、午前8時、カリスマ双子がいきなり押しかけてきた。かと思えば誕生日祝の文句とともにプレゼントを押し付けてきたのであった。
「これね、ハンドクリームなの」
「ハンザくん、手が荒れてるみたいだったから」
「香りはないから、安心してね」
「もし気に入ったら教えて!どこで買ったか教えてあげるねっ♡」
双子は入れ代わり立ち代わり、ハンザに言葉を掛ける。ハンザはそれに相槌さえ入れる暇なく、ともかくと頷きを繰り返す。
「「じゃっ、アイちゃんとテーネからのプレゼントでした!素敵な一年になりますように♡それから、良いお年をっ♡」」
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DOODLE【ヌビアの子】エルベとラナークの話高校生組は妙にこじらせているので可愛い(親馬鹿)
メリクリを君と居住区の端、研究所区域に入ろうというエリアを駆け抜ける二つの足音。夜明けの『ヌビア学研究所』に、けたたましく響いた。
「はっ、はっ…」
「ひぃ、……」
冷たい空気が鼻の中に流れ込むと、痛んで仕方がない。もう少し防寒をしてから部屋を出ればよかったと思う。エルベは大丈夫だろうか、と顔を上げた時だった。
「あー!くそっ!なんでクリスマスまで学校あるんだよ!」
叫びながら、エルベは猛然と走る。やや速度が上がる。オレは、それを必死に追いかけた。息を切らしながら、からから笑う。
「休みにして欲しいなぁ、ホンマに!」
「全くだよ!」
ぜえはあと白い息を吐く。時計を見れば、一限の始業時刻、つまり8時15分まで、あと10分だった。
1715「はっ、はっ…」
「ひぃ、……」
冷たい空気が鼻の中に流れ込むと、痛んで仕方がない。もう少し防寒をしてから部屋を出ればよかったと思う。エルベは大丈夫だろうか、と顔を上げた時だった。
「あー!くそっ!なんでクリスマスまで学校あるんだよ!」
叫びながら、エルベは猛然と走る。やや速度が上がる。オレは、それを必死に追いかけた。息を切らしながら、からから笑う。
「休みにして欲しいなぁ、ホンマに!」
「全くだよ!」
ぜえはあと白い息を吐く。時計を見れば、一限の始業時刻、つまり8時15分まで、あと10分だった。
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DOODLE【創作】ヌビアの子またハンザくんの話。ハンザくんで描きたいものが多すぎる 出演はアイール
たるもの・かくあれ「あ」
それは偶然だった。
広い食堂とはいえ、机や椅子が所狭しと並んでいる以上、通路は広くはない。二人の身体同士がぶつかり、その一人、アイールが顔を上げる。
「すまない」
そう答えたのは、世界にほんの13人しか仲間のない【ヌビアの子】の仲間のひとり、ハンザだった。白米と魚と味噌汁、今日のランチのBセットの盆を持っている。
「こっちこそごめんね」
アイールが持っている盆の上には、トーストと、サラダと、サイドのおかず。ランチのCセットだ。
「ハンザくん、ご飯一緒に食べて良い?」
「……私で良ければ、構わん」
「かまわない、構わない」
アイールはルンルンとした調子でハンザの隣の席を取る。制服、或いは軍服じみた坊主の大男と、ロリィタ服を身にまとった水色髪の少女────その実、少年なわけだが────が並んで座っているというのは、嫌でも目を引く。特にこのヌビア学研究所の中において、オッドアイが二人並んでいるというのは嫌でも【ヌビアの子】同士のつながりを示す。視線を鬱陶しく感じながらも、ハンザは律儀に「いただきます」と礼儀を示した。
2393それは偶然だった。
広い食堂とはいえ、机や椅子が所狭しと並んでいる以上、通路は広くはない。二人の身体同士がぶつかり、その一人、アイールが顔を上げる。
「すまない」
そう答えたのは、世界にほんの13人しか仲間のない【ヌビアの子】の仲間のひとり、ハンザだった。白米と魚と味噌汁、今日のランチのBセットの盆を持っている。
「こっちこそごめんね」
アイールが持っている盆の上には、トーストと、サラダと、サイドのおかず。ランチのCセットだ。
「ハンザくん、ご飯一緒に食べて良い?」
「……私で良ければ、構わん」
「かまわない、構わない」
アイールはルンルンとした調子でハンザの隣の席を取る。制服、或いは軍服じみた坊主の大男と、ロリィタ服を身にまとった水色髪の少女────その実、少年なわけだが────が並んで座っているというのは、嫌でも目を引く。特にこのヌビア学研究所の中において、オッドアイが二人並んでいるというのは嫌でも【ヌビアの子】同士のつながりを示す。視線を鬱陶しく感じながらも、ハンザは律儀に「いただきます」と礼儀を示した。
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DOODLE【創作】イトコ兄妹の話、ヌビアの子シリーズです
ハンザからあの子に向ける矢印の話でもある
空欄やがて満つ「ハンザは、年末はどうしますか?」
二人で帰路を歩いていたとき、従妹────リヨンは突然、俺にそう尋ねてきた。顔を見れば、夕焼けの中、まっすぐ俺を見上げている。
「年末」
「ええ」
鸚鵡返しに呟くと、リヨンは首を傾けて同意を示した。それから、思い出し笑いを含みながら続ける。
「今日、図書館に行ったらラサさんと会ったんです。それで、クリスマスから年末にかけての話になったんです」
「クリスマス……」
俺はまた鸚鵡返しをした。クリスマスという行事は、俺達の地元では無いも同然の行事だ。『異国で行われている行事』に等しく、遠くの騒ぎを新聞の時事の面で聞きかじる程度に留まっている。
特に、俺達の家において、その行事が取り上げられることは皆無に等しい。
2576二人で帰路を歩いていたとき、従妹────リヨンは突然、俺にそう尋ねてきた。顔を見れば、夕焼けの中、まっすぐ俺を見上げている。
「年末」
「ええ」
鸚鵡返しに呟くと、リヨンは首を傾けて同意を示した。それから、思い出し笑いを含みながら続ける。
「今日、図書館に行ったらラサさんと会ったんです。それで、クリスマスから年末にかけての話になったんです」
「クリスマス……」
俺はまた鸚鵡返しをした。クリスマスという行事は、俺達の地元では無いも同然の行事だ。『異国で行われている行事』に等しく、遠くの騒ぎを新聞の時事の面で聞きかじる程度に留まっている。
特に、俺達の家において、その行事が取り上げられることは皆無に等しい。
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DOODLE【創作/ヌビアの子】年上組の話を書こうとしてたのになぜか最年少コンビがずっと会話して終わったdrank「な、エルベ、お酒って美味いんやろか」
研究区から居住区に帰る道中、ラナークはエルベにそう尋ねた。エルベは金と赤の眼をラナークに向ける。
「なんでまた」
ラナークは八重歯を見せながらカラカラと笑った。
「今日、ハトラ主催でな、飲み会すんねやって」
「飲み会?誰が出るんだ」
エルベが食いつくと、ラナークは、ええと、と首をひねった。
「ハンザがな、引き摺られてってん」
「それで今日いないわけだな」
ハンザは、エルベ・ラナークと行動をともにする事が多い。特にダラダラと時間を持て余したり、寄り道をしたり…ということが能動的に好きなわけでもないハンザは、そういう行動の好きなエルベやラナークについていくことで時間を消費している、というわけだ。そのハンザが、今日はいなかった。もっとも、あの堅物ハンザのことだから、引きずられでもしなければ飲み会になど出ないだろうが────エルベはぼんやり考えた。それから、再度ラナークに尋ねる。
2177研究区から居住区に帰る道中、ラナークはエルベにそう尋ねた。エルベは金と赤の眼をラナークに向ける。
「なんでまた」
ラナークは八重歯を見せながらカラカラと笑った。
「今日、ハトラ主催でな、飲み会すんねやって」
「飲み会?誰が出るんだ」
エルベが食いつくと、ラナークは、ええと、と首をひねった。
「ハンザがな、引き摺られてってん」
「それで今日いないわけだな」
ハンザは、エルベ・ラナークと行動をともにする事が多い。特にダラダラと時間を持て余したり、寄り道をしたり…ということが能動的に好きなわけでもないハンザは、そういう行動の好きなエルベやラナークについていくことで時間を消費している、というわけだ。そのハンザが、今日はいなかった。もっとも、あの堅物ハンザのことだから、引きずられでもしなければ飲み会になど出ないだろうが────エルベはぼんやり考えた。それから、再度ラナークに尋ねる。
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DOODLE【創作】ヌビアの子 なんの意味もオチもないやつですけど、ちょっと組み合わせの一案として書きたくて、書きました カリスマ、優しさ、野望その伝わり方や如何「なぁんだか、テーネ、気が進まないなぁ」
4人が放り込まれたのは、机とそれを囲む椅子の他に何もない、殺風景な部屋。
『順が来たら、呼びます』
と研究者が告げてきたことから、待合室扱いなのだと思われる。
待機するうちの一人、【カリスマ】であるテネレが、伸び気味に声を上げた。
パイプ椅子よりはいくらか質の良い椅子に腰掛け、背中を預けている。パニエの入ったスカートがふんわりと形を変える。
「気が進まんのも、当然やんなぁ。こんな人体実験みたいなこと」
応えるのは、【優しさ】のラナーク。アシンメトリーに整えた前髪を指先で翫ぶ。
「あれやろ、脳波取んねやろ?怖いわぁ」
口元には笑みを浮かべながらも、その瞳に楽しげな様子は一つもない。そんなラナークに、食い気味にテネレは「そうなの!!」と叫んだ。さらに勢いづいたテネレは、椅子から体を浮かせて、テーブルに手をついて捲し立てた。
12444人が放り込まれたのは、机とそれを囲む椅子の他に何もない、殺風景な部屋。
『順が来たら、呼びます』
と研究者が告げてきたことから、待合室扱いなのだと思われる。
待機するうちの一人、【カリスマ】であるテネレが、伸び気味に声を上げた。
パイプ椅子よりはいくらか質の良い椅子に腰掛け、背中を預けている。パニエの入ったスカートがふんわりと形を変える。
「気が進まんのも、当然やんなぁ。こんな人体実験みたいなこと」
応えるのは、【優しさ】のラナーク。アシンメトリーに整えた前髪を指先で翫ぶ。
「あれやろ、脳波取んねやろ?怖いわぁ」
口元には笑みを浮かべながらも、その瞳に楽しげな様子は一つもない。そんなラナークに、食い気味にテネレは「そうなの!!」と叫んだ。さらに勢いづいたテネレは、椅子から体を浮かせて、テーブルに手をついて捲し立てた。
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DOODLE【創作】ヌビアの子エルベくんの話
末っ子の記憶「ハンザくん!!ハンザくん、早く中に入ってください!!」
フマナ博士────ヌビア復活学の若手の博士────が、慌てた声で研究室に私を呼び入れる。
いかにも緊急事態、という声色。こうなることが分かっていたのに、何故、この実験をやめられないのか。思わず溜息が出そうになるが、それを堪えて、私は部屋の中に入った。
「エルベ」
部屋の中に入るなり、私は蹲る彼に声を掛ける。
彼はうわ言のようにぶつ、ぶつと呟くばかりで、私の声が届いているようには見えない。
「エルベ」
肩に触れて、顔を上げた彼と目を合わせる。幼い顔立ちの中、眼が不安定に揺れている。
「エル、ベ…?違……う、私、は、ヌビア……」
「違う。お前はエルベだ」
『記憶』であるエルベに課される実験は、殆どのものがヌビアであった頃の記憶を表層まで引きずり出し、エルベの人格を超えさせ、ヌビアの人格と研究者が対話をする、という形のものだ。
1898フマナ博士────ヌビア復活学の若手の博士────が、慌てた声で研究室に私を呼び入れる。
いかにも緊急事態、という声色。こうなることが分かっていたのに、何故、この実験をやめられないのか。思わず溜息が出そうになるが、それを堪えて、私は部屋の中に入った。
「エルベ」
部屋の中に入るなり、私は蹲る彼に声を掛ける。
彼はうわ言のようにぶつ、ぶつと呟くばかりで、私の声が届いているようには見えない。
「エルベ」
肩に触れて、顔を上げた彼と目を合わせる。幼い顔立ちの中、眼が不安定に揺れている。
「エル、ベ…?違……う、私、は、ヌビア……」
「違う。お前はエルベだ」
『記憶』であるエルベに課される実験は、殆どのものがヌビアであった頃の記憶を表層まで引きずり出し、エルベの人格を超えさせ、ヌビアの人格と研究者が対話をする、という形のものだ。
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DOODLE【創作】【ヌビアの子】トゥニャとハトラ、それから巻き込まれたハンザの話。カリスマと博愛、記憶くんにも少しずつ触れています
21歳、彼らの憂鬱「や、トゥニャ」
「……………テメェ、何の用だよ、野望野郎」
ヌビア学研究所、その蔵書室の一角のソファ。
意気揚々と、トゥニャ愛用のその隣に腰掛けたのは、ハトラだった。
「何の用、なんて酷いな〜。貴重な同い年の友達だよ〜?もうちょっと愛想よくして欲しーもんだね」
「いつからテメェがオレの友達になった」
「あは〜。ヌビアの子として生まれた時、じゃない?」
「殴るぞ」
トゥニャは不快感を隠しもせず、尖った歯を見せた。ハトラの方はと言うと、ビビットピンクの眼を爛々と輝かせ、ケラケラ笑っている。
「は〜、いいね、トゥニャ。キミはからかい甲斐がある」
「ざけんなよ、テメェ」
トゥニャがいよいよ拳を固くした、その瞬間、彼の体は硬直したように止まった。トゥニャは一瞬驚いたように唇を開いたあと、チッ、と舌打ちをする。
1793「……………テメェ、何の用だよ、野望野郎」
ヌビア学研究所、その蔵書室の一角のソファ。
意気揚々と、トゥニャ愛用のその隣に腰掛けたのは、ハトラだった。
「何の用、なんて酷いな〜。貴重な同い年の友達だよ〜?もうちょっと愛想よくして欲しーもんだね」
「いつからテメェがオレの友達になった」
「あは〜。ヌビアの子として生まれた時、じゃない?」
「殴るぞ」
トゥニャは不快感を隠しもせず、尖った歯を見せた。ハトラの方はと言うと、ビビットピンクの眼を爛々と輝かせ、ケラケラ笑っている。
「は〜、いいね、トゥニャ。キミはからかい甲斐がある」
「ざけんなよ、テメェ」
トゥニャがいよいよ拳を固くした、その瞬間、彼の体は硬直したように止まった。トゥニャは一瞬驚いたように唇を開いたあと、チッ、と舌打ちをする。
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DOODLE【創作】ヌビアの子 視点はテーネ視点色んな子が出てきます 文だけなのに?名前覚えてないと無理なシステム、毛玉しか読めねぇのでは?
ずっと匂わせたかったハンザの話です
こころころころ「エルベとハンザとラナークって、いつも一緒にいるよね」
きっかけは、ふとしたカステルちゃんの一言だった。
エルベくんの赤い目が、ハンザくんの黄緑色の目が、ラナークくんの紫色の目が、カステルちゃんを捉える。ついでに、テーネも、3人の方を見る。
「あぁ、いや、大した意味はないんだけど。仲いいなと思って」
「それを言ったら、カステルとセーヌだって、仲が良いだろ」
エルベくんが返す。まるでお付きの従者みたいにカステルちゃんのそばに居たセーヌちゃんが、ほんのちょっとだけ顔を赤くした。カステルちゃんが、笑う。
「そりゃ、アタシとセーヌはフィジカル枠だからね。ヌビア復活学に付き合わされるときだって、大体一緒なんだから」
セーヌちゃんの目がちょっとだけ泳いだ。そこは、「アタシとセーヌは親友だから」とか「アタシはセーヌのこと好きだから」とか、言ってほしかったんだろうな。
2581きっかけは、ふとしたカステルちゃんの一言だった。
エルベくんの赤い目が、ハンザくんの黄緑色の目が、ラナークくんの紫色の目が、カステルちゃんを捉える。ついでに、テーネも、3人の方を見る。
「あぁ、いや、大した意味はないんだけど。仲いいなと思って」
「それを言ったら、カステルとセーヌだって、仲が良いだろ」
エルベくんが返す。まるでお付きの従者みたいにカステルちゃんのそばに居たセーヌちゃんが、ほんのちょっとだけ顔を赤くした。カステルちゃんが、笑う。
「そりゃ、アタシとセーヌはフィジカル枠だからね。ヌビア復活学に付き合わされるときだって、大体一緒なんだから」
セーヌちゃんの目がちょっとだけ泳いだ。そこは、「アタシとセーヌは親友だから」とか「アタシはセーヌのこと好きだから」とか、言ってほしかったんだろうな。
転生の毛玉
DOODLE【創作】ヌビアの子 一次創作オタクでもね〜のにやりたい放題やっててごめんね カリスマ兄(出てこない)と感覚と記憶の話カリスマ青が男ってマジ?「【カリスマ】青が男って、マジか?」
恐る恐る、どこか疑うように、トゥニャはエルベに尋ねた。
エルベは「あー、」と間の抜けた声を出した後、こっくりと頷く。トゥニャは目隠しの下の眼を丸くした。
「マジで?」
「マジで」
「【記憶】男、嘘ついてねぇよな」
「何でオレが嘘つくんだよ」
念押しされても、答えが変わるはずもない。エルベは、今度は小刻みに何度か首を縦に振った。
トゥニャはしばらく細く長く息を吐きだす。そして、口を開いた。
「……まさかとは思うが、ヌビアには、その、露出狂みてぇなケがあったわけじゃねぇよな」
「私を何だと思ってるんだ」
と、言い切ってから、エルベは(しまった)とでも言うようにわざとらしく口を噤んだ。トゥニャは敢えてそこには触れず、肩をすくめた。
1000恐る恐る、どこか疑うように、トゥニャはエルベに尋ねた。
エルベは「あー、」と間の抜けた声を出した後、こっくりと頷く。トゥニャは目隠しの下の眼を丸くした。
「マジで?」
「マジで」
「【記憶】男、嘘ついてねぇよな」
「何でオレが嘘つくんだよ」
念押しされても、答えが変わるはずもない。エルベは、今度は小刻みに何度か首を縦に振った。
トゥニャはしばらく細く長く息を吐きだす。そして、口を開いた。
「……まさかとは思うが、ヌビアには、その、露出狂みてぇなケがあったわけじゃねぇよな」
「私を何だと思ってるんだ」
と、言い切ってから、エルベは(しまった)とでも言うようにわざとらしく口を噤んだ。トゥニャは敢えてそこには触れず、肩をすくめた。