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    ネーム

    箱の裏

    PROGRESS時間軸は最終回くらいのオニキド 試しで序盤だけ載せてあります
    名前はヒーローネームのままにしてあります
    △注意! 二人の家族、職業など完全に捏造、オリジナルキャラクターも出てくる私による私のための妄想小説です
    そういうパロと思って読める方だけお読みください
    少年よ、「あんた、誰?」


     暫く仕事で忙しくして久方ぶりの逢瀬の最中、突然青ざめてベッドを飛び出していった恋人に、オニマーが言われた台詞である。
     キドウは裸のまま追い詰められた洗面所の隅で戦意よりも不安が勝った声でそう言い、次いで鏡に映った自分の顔を見て「えっ」と口に出した。まるでそこに見覚えが無い誰かが映ってでもいるかのように。

     結論、キドウは現在精神年齢だけが16歳に退行している――否、この場合は16歳以降の記憶が抜け落ちていると言うべきだろうか?なんにせよ、自分のヒーローネームも、エンデヴァー事務所のことも、共に暮らす恋人のことも一切覚えが無いということらしい。


     おふざけにしては度が過ぎているその態度に自らも面食らい、また困惑しながらもそこまでを聞き出したオニマーは、ペットボトルから茶を注ぎながら、ソファに座らせたキドウを肩越しに覗き見た。
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