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    ブラート

    鶴田樹

    DONE熱風さんの鶯丸のイラスト(オブラート)のファンアートです!

    見る人を選ぶとおっしゃってましたがバッチリ選ばれました✨✨

    縄師の大包平と縄を受ける鶯丸の話(短いです)
    【へ処何は軆】


    へこずいはちたか

    縄の赤が溶け出していくやうだ、と鶯丸の肌にじわりと朱が差していく様を眺める。

    鶯丸の白い肌は平素あまり温度を持たない。

    彼奴は暑い日も寒い日も変わらず陶器のやうな肌を晒してゐる。

    その肌が今はじつとりとした体温を孕んでいた。

    その様子に大包平は自身の堅物さを雄弁に顕す口を強く引き結ぶ。

    その間にも迷いのない早さで赤い縄が一条、また一条と打たれ、結び目が花のやうに咲き散らされていく。

    鶯丸の自由を奪う縄。

    しかし鶯丸はそのやうなことは一毫も感じてゐない素振りで、ただ大包平のなすが儘に縄を打たれてゐる。

    大包平は嘘を好かぬ性質だ。

    言葉を濁すことも赦せぬ性質だ。

    そんな大包平でも断じて言えぬことがある。

    お前が縄に酔う様が見たいなどと。

    それでも如何ともし難い衝動に苦渋の表情を浮かべながら「縄を受けてくれないか」と乞えば、「なんだ、練習か。いいだろう、付き合うぞ。」と鶯丸はからりと応じた。

    それが、今ではこれだ。

    縄を打ち、背中の結び目に新たな縄を絡ませる。天井の梁の上を通した縄の片側を引けば鶯丸の躯体は針金で形作られた鳥 1095