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    リノ

    そのこ

    DOODLEアナベルとフリック。アナベルさん、ビクトールはもう二度と隣に誰かを置かないと思ってたのにフリックがいてビビったろうな。これはビクフリの文脈です。
    2025-04-24


     定例の報告会の後、少し時間が余ってしまった。次の予定まで、アナベル自身も時間があったし、今日は一人で来たフリックもまたすぐに帰らねばならぬ事もないらしい。茶を淹れてしゃべるといっても、お互いにどうしても共通の知人の話になる。
     フリックはどうやら昔の話を殆ど聞いていないらしい。ただ故郷を滅ぼされ、誰にも頼らずに復讐の旅に出た。どうして誰も頼らなかったのか、忘れてしまうことは出来なかったのか。
     10年前のビクトールが、どれだけ暗い目をしていたか。
    「解放軍の頃はそりゃあ信用できない顔してたけどな」
    「でもするっと懐にはいるんだろう」
    「そう。だからこそ俺は嫌いだったけどな」
     笑うフリックの表情はどこか甘さが勝つ。容貌のやわらかさと言うよりも、ビクトールに向ける感情に、言葉ほどのとげのなさから来る甘さなのだろう。もう帰ってこないと思っていたビクトールが、隣国からたった一人連れ帰ってきた男は、その事実の重さと甘さには何も気づいていないようだった。
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    DOODLEレイチュリ🧂🦚
    ワンウィーク【パートナー、ハッピーエンド】

    夢にまで見た終わりの話
    「全然、なんか思っていたのと違うっていうか」
    「……嫌なら言ってくれと再三伝えていたつもりだったんだが。いや……、ようやくそれを僕に言えるようになった、ということか? 君の信頼を得ることができたと喜ぶべきなのか、これは?」
    「あはは、何一人でぶつくさ言っているんだい、君」
     誰のせいだと。多少の苦言も含めてその頬をつついてやれば、くつくつと喉の奥で笑うような音が聞こえた。そしてまるで安心しきった顔でその手に頬を寄せてくる。そこには嫌悪や忌避感は見当たらなくて、柄にもなく息が漏れた。
     つまり彼は、今は別に不快な訳ではないのだろう。ではあれはどういう意味だろうか。既に身体を重ねた回数は両手じゃ足りなくなっていて、というか足の指を足したって足りないだろう。レイシオとて凡人である。好意を寄せる相手に向ける欲だって人並みなのだ。そして彼もそれを拒まなかったし、望んでいるようにも見えて。いや、そういう思い込みこそがよくなかったのだろうか。レイシオが「したい」と言ったそれにただ、彼が否を返せなかっただけだとしたら。
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