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    リュウ

    そいそい

    MOURNING書きかけのタツリュウを供養🙏
    先生宛のメールの送信ボタンを押し、送信完了を確認したところで、俺は勢いよく立ち上がる。
    「終わったー!」
    そう叫んだ途端、立ち上がった勢いで椅子もバタリと倒れた。そんなことはもうどうでもよくて、俺は部屋を飛び出す。廊下を二、三歩歩き、隣の部屋のドアを開けた。
    「兄貴ー!終わったぞー!」
    「おつかれ、うわっ!」
    ベッドに腰を掛けて本を読んでいる兄貴に向かって、俺は飛び込み、押し倒す。
    「お、お前んっ……」
    そして、文句を言われる前にその口を塞いだ。だって兄貴の説教は長いから。もう待てなんてできない。
    俺は大学四年生。卒業に向けて、卒業論文を書いていた。だが、あまりにも筆が進まない。締切まであと一ヶ月というところで兄貴に泣きつけば、手伝ってくれることになった。相変わらず面倒見のいい兄貴に飛んで喜んでいたら、一つ条件を出された。それは、卒論が終わるまでそういうことは禁止ということ。俺は悩んだ。大いに悩んだ。だって、それはつまり一ヶ月もの間兄貴に触れられないということ。そんなの耐えられない。でも、卒論がヤバいのは確かだ。卒業できないのはかなりまずい。だから、仕方がないので俺はその条件を飲んだのだ。そして、今日、やっと卒論が完成した。もう俺を阻むものは何もない。
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