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    ルイス

    marintotiko

    MEMO第二話の冒頭ダラム屋敷での、ルイスと兄様の捏造話です。ウィル←アル要素がある。*


    「さて。ウィリアムが帰って来るまでに、あらかた片付けてしまおうか」

    「はい、兄様」

     返事をしつつも、なんとなく漂う気まずさからルイスは目を逸らした。

     実兄・ウィリアムが数学教授を勤めるダラム大学。その近くに家具つきの屋敷を安価で手にいれたアルバートの手腕はたしかに見事なものであった。ウィリアムの通勤時間を大幅に短縮できることは、ルイスとっても喜ばしいことだ。

     そのウィリアムはまだ、この新しく購入した屋敷に来ていない。大学の事務で転居の手続きとーーーついでに先日抹殺した貴族院議員の件の後始末も済ませてくるつもりなのだろう。共に行動できないのは残念であるが、実兄が帰るまでにこの屋敷を完璧に仕上げるのが今日の自分の仕事だと割りきっている。

     けれど、ここでひとつ、ルイスにとって大きな誤算が生じた。普段はロンドンに住むアルバートが、わざわざ軍の仕事を休んでまで、屋敷の掃除の手伝いに名乗り出たことである。兄弟三人で行動するか、あるいはアルバートが単独行動することが多いため、アルバートとルイスが長時間完全に二人きりというのは、ほとんど初めてのことであった。

    「兄様は軍のお 3766