とある任務で大豪邸に潜入した乙。屋敷の主人に近づくために使用人になりすます。新人使用人として潜入したがそこで用意された衣装は足まで隠れるくらいのワンピースメイド服。聞けば主人の嗜好により性別関係なくメイド服だと決まっているらしい。女装なんてと思いながらも任務のために渋々着る乙。
主人に近づくため懸命に仕事をこなす乙。ある時、真面目に働く姿が主人の目に留まり一目置かれるようになった乙はついに主人から呼び出され接触に成功する。主人から食事に誘われて断ろうとしたがここで嫌われてはまずいと思い従うことに。
目の前のご馳走に少量だけ手をつけながら任務に関わる話を聞き出そうと主人との会話に集中する。しかししばらく経って異様に眠気を感じるようになりこのままだとまずいと判断した乙は主人に断りを入れ席を立つ。だが時すでに遅し。椅子から立った瞬間立ちくらみを起こし転げ落ちるように倒れると主人の心配の声を遠くに聞きながらそのまま深い眠りについてしまう。

最後の一人指先に触れたコアの残滓は術者の体内に時間をかけて蓄積し、やがて精神を冒す。さながら重金属が人間の身体を蝕むように。

「KKはやっぱりすごいなぁ」
マレビト退治の依頼をこなしたところでようやく一服。誰にも邪魔されずにこの街を一望できるこのビルの上はオレと暁人のお気にいりの場所だ。普段オレがタバコを吸えば必ず一言言う暁人だが、ここにいるときだけはただただ静かに煙の流れて行く先を眺めている。

「なんだ？急に褒められてもなんも出ないぞ」
「さっきマレビト倒してる時５体同時にコア引き抜いてたから」コアの引き抜き方を思い出しているのだろう、左手で何かをつかむ動作を繰り返している。
「あの夜はできたから当たり前にできるものだと思ってさ。今は一体引き抜くので精一杯だよ」