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    坊ちゃん

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    DONE①名前を呼んでほしい坊ちゃん
    ②坊ちゃんと特別授業
    ③坊ちゃんと激おこ執事
    ④坊ちゃんと悪天候
    ⑤風邪ひき坊ちゃん
    SSまとめ◆名前を呼んでほしい坊ちゃん
    「坊ちゃん、起きてください」
    聞こえてきた声に、ふわふわとぬるま湯の中に浸かっていた意識が浮上する。瞼越しに柔らかい光が差し込んで、遠くからいつも窓際にいる小鳥たちの鳴き声がした。柔らかい布団の中良好な睡眠をとったお陰で頭はすっきり冴えている。いつもの自分ならすぐにでも起きておはようと返事をするだろう。
    「……坊ちゃん?」
    けれど今日は違う。寝返りを打って、枕に顔を埋めて、聞こえていないふりをする。下手な演技だろうが、そこは問題ない。寝たふりも、その意図も、彼は正しく理解してくれるはずだ。
    (――今日こそ名前で呼んでもらうまで起きん)
    彼、炎司が執事となってから短くない時間が経ったが、生真面目な彼は啓悟のことを頑なに「坊ちゃん」と呼ぶ。それが嫌と言うわけではないが、折角なら名前で呼んでほしい。だって以前は名前で呼んでくれていたのだ。それが主従関係になったからダメだなんて。『前みたいに呼んでほしい』。ある時ぽろりと零したそんな些細なお願いに、炎司の解答は無情にもNOだった。
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    すなの

    DONE庭ナニ+ウォーロック坊ちゃん
    Fluite 結論から言えばウォーロック・ダウリングは反キリストではなかったが、かと言って凡夫というわけでもなかった。父譲りの野心と母譲りの豪胆さは周りの子どもたちから彼を際立たせたし、素直で賢く、恵まれていた。そして、彼を見守ってきた天使と悪魔を五年も騙しおおせた程に悪魔的ないたずらっ子でもあった。
    事の発端は六歳になったウォーロックが探偵もののドラマにハマったことだった。ウォーロックの家には何人もの使用人が暮らしていたが、その中にフランシスという庭師の男がいた。フランシスは少し浮世離れしている変わり者だったが、彼がこの家に来てからというもの庭の薔薇はまるで天使に祝福されたかのように美しく咲き誇り、屋敷に住む者の目を楽しませるようになった。ウォーロック少年もこの男を気に入っていた。彼の身なりは粗末だったが、土に汚れたポケットの中にはなぜかいつも似つかわしくない高級店のバタークッキーやチョコレートが入っているのだ。さて、ウォーロックは探偵ごっこの最中、このフランシスの手元に興味深い謎を発見した。最初は花壇の土に混ざった石の欠片かと思ったが、どうもそうではない。キラキラした細かな輝きが庭師の指に付いている。一体あれはなんだろうか。あの人の善い庭師が屋敷の誰にも秘密で触れているなにか。それは何なのか? ウォーロックは不思議な庭師の秘密を掴めるかもしれないとわくわくした。
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