俺の部下がド天然すぎる件について「…なあ、レーン」
「何でしょう…？」
「俺、お前さんが好きなんだけれどなぁ」

何回も告げている、愛の言葉。
俺は思っていた以上にレーンに惹かれているらしい。

「…俺も、好きですよ」
「レーン…！」
「共にマフティーを打倒するのでしょう？大佐はアレな面も確かにありますが…共に戦う仲間として、ある程度尊敬していますし、好ましく思っています！」
「…え？」

もしかして今、俺ってフラれた？？？

「れ、レーン…それは…」
「…違うのです？」

ことり、とレーンは首を傾げた。
その表情は、疑問を隠さない純粋無垢なもので。

「…あ、ああ…確かに俺はお前さんを仲間として、部下として好きだ…」
「大佐…」
「悪かったなレーン…持ち場に戻っていいぞ」

ここ一週間、ナワーブと共寝をしていたためにあまり訪れていなかったからだろう。目の前にした自室の扉からは何処となく懐かしさを感じられる。その扉の向こうから、煙の香りが濃く感じられる。イライは夢見心地の気分でドアノブを握った。
「……っ♡♡ぁ………♡♡」
開いた傍から香りが立ち込める。鼻腔だけでなく肌にすら触れていく感覚、感じ得る匂いに、イライの腰が重く痺れていく。元より漂っていた花の香りにムスクと煙が混ざり合った様。それはさも、彼の腕に強く抱きしめられている時のような有り様だ。腹の奥をじん…っ♡と熱くさせながら、イライはゆっくりと瞼を下ろし、もう一度擡げる。そうして見えた光景に、青い眼差しがいっそうの熱を帯びた。