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    天邪鬼

    らいむ

    DONE10年めの先生の独白。例によって甘いです(ひとりの時、ここぞとデレる天邪鬼)
    仗露道場2025/1/10「ウソ」 (2023/4/1お題) 信じてくれと、最初の頃はよく言われた。おれのことが嫌いなのはいい、だけどせめて、おれがあんたを好きだってことは信じてほしいと。
     君のご希望を叶えてやる義理はないね、それがぼくの返答だった。だいたい君が言ってることは、「自分を信じないおまえが悪い」ってのと同じだぜ。そいつを図々しいと思わないんなら、やっぱりぼくとは気が合わないってことだな!
     別にわざと啖呵を切ったとかじゃあなく、当時のぼくの率直な感情だった。かつがれてるとはさすがに考えなかったが(ぼくの漫画家の目は、そんなことも見抜けない節穴じゃあない)、どこまで本気なんだかとか、自分が何を口走ってるかわかってんのかね、とは思っていた。
     思春期にちょっと歳上の同性になつくとか、映画や小説でもありがちだよな。父親を知らずに育ったのが、ある日突然強さ体格容姿頭脳、すべてにおいて絵に描いたような兄貴分が現れて。初めて味わった「頼る」って気持ちの持っていきどころがなくなって、手近なぼくに目をつけたってところだろ。こいつにとっての頼り甲斐なんかゼロに等しい(なんと言ってもぼくのほうに、頼らせてやる気がさらさらない)ぼくんとこに、なんでわざわざ来るんだか。
    1967