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    くじら

    DONE付き合ってるなゆみゆがデートしてて界川さんが旭さんに見繕った服着せてる話。界川さんはもちろんですが旭さんもだいぶ界川さんのこと好きじゃん。て文になった(事後報告)
    なゆみゆデート話「やっぱ那由多、こういうのも似合うって!かわいいじゃん」
    ぽんと背中を叩いて鏡の前へ連れて行くと、そっぽを向いていた銀髪がようやく深幸のほうを見た。
    「お前、なんでそんなに楽しそうにしてんだ。……意味わかんねえ」
    薄い唇がはあ、と小さく息を吐く。仏頂面なことに変わりはないが、いつもの鋭い眼光はなりを潜めた緋色がゆっくりと細められた。比較的に今日の那由多は機嫌が良いほうなのだろう。その証拠にこうして深幸の見立てた衣服を大人しく試着している。
    「んーー…だってさ、好きな子が俺の選んだ服を着てくれてたら嬉しいじゃん。それにいつもと違うテイストのも似合うなって気づけることもあるし?」
    思っていることをそのまま口にしてみれば、妙に気恥ずかしくなった。目の前の恋人はというと、不可解だと言わんばかりに僅かに眉を顰めて腕を組んだ。深幸といる時の那由多は、普段よりかはこうして思っていることを露にしている。それは喜ばしいことなのだが、ここまで共感を得られないと本当に那由多は己の恋人なのかと不安にもなってくる。否、那由多に共感を求めているわけではない。ただ、独りよがりな気持ちの押し付けはしたくないのだ。気がつけば深幸の視線は足元に落ちていた。
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    くじら

    DONE旭さんが寝ぼけて曙さんにバリタチいちゃつきムーブメントをしてしまう話です。界川さんと美園さんもおります。
    お寝ぼけ那由多「あ、那由多おはよ〜」
    間延びした声にふと顔をあげる。声の主である涼の視線の先には平常通りのしかめ面をした那由多がいた。返事代わりにくあ、と欠伸をひとつするとずかずかと遠慮のない足取りで向かってくる。ソファには深幸と礼音、涼が間隔を空けて座っていた。恐らく涼の隣に腰を下ろすつもりだろう。経緯は不明だが、最近の那由多は涼の隣を陣取ることが多い。大抵本人は「侍らせています」とでも言わんばかりの表情だがーーー深幸から見れば、人間に懐き始めた猫のようだ。と言っても、懐かれている涼は自称宇宙人である。
    「はい、どうぞ」
    那由多が隣に座るのがさも当然とばかりに涼が位置をずらして座り直す。那由多は黙って微かに頷いた。何なんだこいつら。先日打ち上げで焼肉を食べに行った時もそうだった。向かう途中、自分の隣は那由多と決まっているかのように「那由多は奥のほうがいい?」と涼が相談をしていたのを見た。那由多は「どうでもいい」と返していたが、いざ店内に案内されたら真っ先に奥の席に向かったのだ。終いには隣の座席と涼を順に見て「横に座れ」と視線だけで命令したところまでしっかりと深幸の記憶に焼きついている。素直じゃないのもここまでくるともはや微笑ましいが。
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