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    生時

    時緒🍴自家通販実施中

    TRAINING狡噛さんに怪我させちゃう学生時代の宜野座さんのお話です。
    君が隠してるもの、僕も持ってるよ ギノとつるむようになって一ヶ月が過ぎた。最初こそやめたほうがいいよとアドバイスをしてくれる友人たちも多かったが、それらを全て無視していると何も言われなくなった。それでも彼らは全国一位ってラベリングされた俺に話しかけてきて、ギノをなかったように扱い、これまで通りに振る舞った。明日のテストはどうする? 考査のことどう考えてる? 将来何になりたい? 狡噛なら楽勝だもんな、官僚にだってなれるよ。分かりやすいお世辞に分かりやすく笑顔を返しながら、俺はギノのことばかり考えた。ギノは俺が話しかけるたび嫌がって逃げようとした。俺がまるで下心があるみたいに、これは俺の勝手な推測だけれど、魅力的な優等生役をするために自分に話しかけているように見せているんじゃないかと思っているようで、俺が何かを話すたびに伊達眼鏡をかちゃかちゃと鳴らして嫌そうに顔をしかめた。それは一ヶ月経っても、二ヶ月経っても、三ヶ月経っても変わらなかった。変わったのは彼が俺を振り払って、その時俺が怪我をしたからだった。ギノは顔色を変えた。周囲に同級生はいなかったからギノがいじめられることはないだろう。ただギノの少し長い爪は俺の目元に引っ掻き傷を作って、鉄くさい血の味がした。ギノは動揺していた。彼はいつも言葉で人を傷つけていたけれど、自分が殴られでもしない限り誰かを殴ることなんてない人間だった。そして俺はその時思った。あぁ、ようやく関係が変わるんじゃないかって。
    2002

    haru72akihuyu

    TRAINING自転車に乗って(じゅ、ゴとゲの学生時代) 日差しが眩しくて少しだけ目を細めた。私は今、片側一車線の道路をコンビニへ向けて自転車で下っている。後ろに五条悟を乗せて。
     人里離れた山の中にある学校から最寄りのコンビニまでは、どんなに頑張っても三十分はかかる。明日になれば任務で山を降りるのに、悟はどうしても行くのだ言って聞かなかった。今日発売の漫画を読みたいのだそうだ。
     まあ私も暇を持て余していたから、コンビニへ行くことに特に異論はなかった。悟が素知らぬ顔で私が跨る自転車の荷台に座ったこと以外は。
     一言文句を言ってやろうかと口を開いた私は、けれど無邪気に笑う悟の顔を見てすぐにそんな気を無くしてしまった。ペダルを漕ぎ出すと身体全体に風を受け、しばし暑さを忘れる。
    「いいねいいね、涼しいね〜」
     私の肩にあごを載せてだらしなく喋る悟はご機嫌だ。と、いきなり脇から前かごに手を伸ばされバランスを崩してしまう。
    「こら悟、危ないだろ」
     体重をかけられ、思わず前のめりになって自転車を止めた。前かごから取り出したペットボトルを傾ける悟を軽く諌めるも、返ってきたのはのんびりとした鼻歌だけ。
     まったく悟は自由だ。私は一つ息を吐いて再度ペダル 963

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    TRAINING青っぽい学生時代狡宜。
    800文字チャレンジ83日目。
    鼓動が限界(ある夏の日に) 初めてギノと口づけをした時、心臓が痛すぎて病気になったと思った。不恰好にも手の汗がびしょびしょだったし、それで嫌われやしないかまた心臓の鼓動が早くなった。何回も歯磨きした、歯磨きしすぎて血が出るくらい歯磨きした。ガムも噛んだしミント味のラムネも食べた。そうして俺はやっとギノと先送りにしていたキスをして、恥ずかしそうに笑う彼にもう一度キスがしたくなった。でももう鼓動が限界だ! これ以上キスしたら死んでしまうかもしれない。死因、キスをしたこと、愛する人とキスをしたこと、少しロマンチックだけれど、もっとしたいことがたくさんある。海に行きたい、山に行きたい、俺が好きなところ全てにギノを連れて行きたい。廃棄区画にある古本屋とか、やっぱり廃棄区画にあるジャンキーなハンバーガーショップとか、そんなところにギノを連れて行きたい。ギノは嫌がるだろうな。でも俺を知って欲しいんだ。俺はまだ童貞でデートの仕方も知らなくて、だから自分の好きなものを教えるくらいしか思いつかない。でもそれだって充分だろう? 俺の好きなものは、俺を構成するものなんだから。それを差し出すってことは、俺を差し出すってことなんだから。
    910

    usagi_is_kawaii

    MAIKING夏五で都々逸ネタ
    学生時代に交わした約束を、夏が死んだ後にしっかり守る五。
    使用都々逸(?)は、
    “三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい”
    “お前死んでも寺へはやらぬ、焼いて粉にして酒で飲む”
    のふたつ。
    いつか漫画か何かにしたいけど、時間も気力もねぇからSSだけ先に書いた。
    傑とテスト前に日本史の勉強をしている最中、明治初期のところに差し掛かった時のことだ。

    「あぁ、そうそう。この時代、“ざんぎり頭叩いてみれば文明開花の音がする”という歌が流行るほど、髷を切り落とした者を先進的なものたちだという賞賛の声も増えてきた頃だね」
    と、補足の豆知識を教えてくれる。

    その今まで歴史で聞いてきた俳句や和歌とも違う音のリズムに少しばかり興味を抱く。

    「字余りすぎね?」
    「和歌でも俳句でもないよ。都々逸って言って、七・七・七・五の歌。有名なのだと、高杉晋作が遊女に送った“三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい”とかかな」
    烏を殺しとは随分物騒なこって。

    「へぇ、高杉ってカラスに恨みでもあんの?」
    率直な感想を傑に言えば、きょとりとした後おかしそうに吹き出した。

    「違う違う!三千世界はこの世界全て。カラスは、遊女が客に【浮気をしない】という約束を神に運ぶ役割を担っていてね。約束を破ると三羽のカラスが死ぬらしい。世界中の全ての烏を殺してでも、朝寝、つまりはセックスして一緒に朝を迎えたい。お前を独占したい、みたいな内容の恋の歌だよ」

    神に約束を運ぶということは、カ 1807