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    真似

    ささじま

    DOODLE※死ネタ注意。 単発です。幻想小説の真似ごとということで、深く考えないで読むことをお勧めします。2021/3/18髪の毛ほどの細い月が昇っていた。
     HiMERUは月を背に、荒地をぶらぶらと歩く。手には大きな刷毛と、筆。足元にはゴロゴロと大きな岩が転がっていたが、降るような星空の下でも夜目が効いているからか、転ぶことはなかった。
     いくらも歩かないうちに、大地に直径10メートルほどの孔が現れる。その孔はHiMERUがたどり着いた淵から緩やかに傾斜が形成されており、坂を下れば3メートルほど地表から潜るようになっていた。
     孔の底に着いて、HiMERUは小さなコーンが立っている場所にしゃがみこむ。
    「お待たせしました」
     そうポツリと呟いて、HiMERUは足元の土を刷毛で払い始めた。
     3回ほど掃いたところで、不自然に均一に並んだ石の列が姿を表す。HiMERUは石と石の隙間を筆で丹念に掃いて土を取り除いていく。邪魔な石が出てきたら丁寧に手で取り除いて、また土を掃く。
     孔の底に光はほとんど届いていないはずなのに、HiMERUにはその石がよく見えていた。
     HiMERUが見間違えるはずがないのだ。
     なぜならHiMERUはずっとそれを探していたのだから。
     孔の外では風が渡っているらしく、時折びゅお、と 1283