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    蟹SUN

    PAST現パロ悠脹。幼少期悠脹の回想、モブ(→?)脹、悠脹の三部構成です。
    ・職場の後輩モブ男の視点
    ・モブの活きが良い
    ・けんかみたいになって攻めも受けも泣く
    恋してめんどくさくなっちゃう攻めは可愛いしそれを包み込む受けは頼もしいですね
    どこにいたって迎えに行くよ ショッピングモール 迷子センター

    「うっ……う、うう……」
    「今ね『ゆうじくんが待ってますよ〜』ってみんなにお知らせしたからね。おうちの人が来てくれるまで、もう少し待ってようね?」
    「う゛う〜〜……に、にいちゃ、おにいちゃん……! ぅえっ」
     ソファに座って泣きじゃくる男の子がいた。『ゆうじ』と呼ばれたその子どもの耳には、穏やかな口調で宥める職員の声も届いていない様子だ。
     その日、その男の子──虎杖悠仁は三人の兄と共に郊外にある巨大なショッピングモールに来ていた。
     結論から言えば、はしゃぎすぎた悠仁は──一人はぐれた。幸い、彼はすぐに迷子センターで保護された。
     しかし、幼い子どもにとってこの世界は広すぎた。独りの時間は永遠とも思えた。兄たちのいない世界など想像したこともなかった。もう二度と会えないかもしれないとまで考える小さな心は押し潰され、その目からは涙が止まらなかった。
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    tada_00_

    DOODLEめぐゆじ。

    脹虎じゃない。

    同棲してるくさい。

    謎時空。

    短い。

    2022.6.16
    淡い世界でどこまでも深く「俺がいなくなったら、伏黒はどうする?」
     何でもないように虎杖がそう言うと、伏黒はフッと顔を上げた。
     穏やかな優しい風が吹く、六月半ばのことだった。木漏れ日が差し込む、窓の大きな部屋。白い薄いカーテンが、開け放った窓から入り込む風に吹かれてぶわりと大きく揺れていた。
     そんな中で二人、紺の四人掛けのソファーなんて見向きもしないで毛足の長いカーペットの上に陣取っている。胡坐をかいて座る虎杖の、固く筋肉のついた太ももにツンツンとした黒髪を乗せて寝転がっていた伏黒の、平和で穏やかだった至福のひと時に一筋の淡い影が落とされた。
     昼に近い時間であったのと、冴えわたるようによく晴れた空のおかげでその部屋はいっぱいに光を取り込み、真っ白い壁と淡めの茶色いフローリングがそれを反射させてキラキラと輝いているように明るい。暑くなってきたからと、白い無地のTシャツにベージュのチノパン姿の虎杖はとても爽やかで暗い影など何一つないように見えた。青く茂った若い葉は段々と色を濃くしてきて、ゆらゆらと部屋の中に少しの日陰を作っている。キラキラと輝いているのは太陽の光ではなくむしろ虎杖の方だと勘違いしそうなほどに。
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