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    読み

    ue_no_yuka

    DONE奥原氏物語 前編

    ようみつシリーズ番外編。花雫家の先祖の話。平安末期過去編。皆さんの理解の程度と需要によっては書きますと言いましたが、現時点で唯一の読者まつおさんが是非読みたいと言ってくださったので書きました。いらない人は読まなくていいです。
    月と鶺鴒 いつか罰が当たるだろう。そう思いながら少女は生きていた。

    四人兄弟の三番目に生まれ、兄のように家を守る必要も無く、姉のように十で厄介払いのように嫁に出されることもなく、末の子のように食い扶持を減らすために川に捨てられることもなかった。ただ農民の子らしく農業に勤しみ、家族の団欒で適当に笑って過ごしていればそれでよかった。あとは、薪を拾いに山に行ったついでに、水を汲みに井戸に行ったついでに、洗濯を干したついでに、その辺の地面にその辺に落ちていた木の棒で絵が描ければそれで満足だった。自分だけこんなに楽に生きていて、いつか罰が当たるだろう。そう思いながら少女は生きていた。

    少女が十二の頃、大飢饉が起こり家族は皆死に絶えたが、少女一人だけが生き長らえた。しかし、やがて僅かな食べ物もつき、追い打ちをかけるように大寒波がやってきた。ここまで生き残り、飢えに苦しんだ時間が単楽的なこの人生への罰だったのだ。だがそれももういいだろう。少女はそう思い、冬の冷たい川に身を投げた。
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    しんした

    PROGRESS8月東京の七灰原稿進捗①です。
    灰原くんを亡くしたあとの七海が、灰原くんが残した言葉を読み返すなかで灰原くんへの想いと向き合うお話。ほぼ七海の独白・回想ですがハピエンです。
    でも七海がひとりなので書いていて辛いので進捗upしました。

    推敲はしていないのでおかしな部分はスルーしていただけると助かります。
    8月七灰原稿進捗①一.Re:Re:Re:Re:無題



    二年の夏。
    残暑の厳しい、いつもと変わらない何でもない八月のある日。
    灰原が、死んだ。





    開けっ放しだった窓から吹き込む風の肌寒さに、七海は手元の文庫本から顔を上げた。
    今日は午後から自習だった。自習といっても課題は出るのだが、期限までに提出すればどこで何をしていてもいいと言われたので、さっさとプリントを片付けて寮の自室へ戻っていた。
    文庫本に栞を挟んだ七海は椅子から立ち上がって、ふわりとカーテンがなびく窓際へと足を向けた。
    どうやら、しばらく積んだままでいた本の世界にすっかり浸っていたらしく、カーテンの向こうの空は随分と陽が傾いていた。昼間の日向にいるとまだ少し汗ばむ時もあるが、季節は着々と歩みを進めていたらしい。太陽という熱源を失いつつある秋の夕暮れ時の空気が、ワイシャツの薄い生地を通り抜けて身体を冷やしていく。
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    🍏🥝🍣現遂🍣🥝🍏

    DONE〈法庶05〉
    働き詰めの法正を止められる者が誰も居なくなってしまった…
    そんな時!月光浴び行く緑の外套──
    徐元直が舞い降りた!
    朧月夜が作る影。夜風にはためく翡翠の裾。
    恩返しなんて要りません。
    けれど話を聞いてくれ!
    一途な徐庶と、そんな彼に絆されて少しだけ丸くなる法正の話。
    秘密の逢瀬は夜の執務室…ほんのり静かな二直エロを目指しました。
    いやとにかく法庶が読みたくて勢いでk
    月夜の仲裁ネコ〜JOSHO〜 窓から差す月明かりが法正の手元をぼんやり照らす。彼はそこでようやく気が付く。もうそんな時間か──と。

     蜀の軍師になってからというもの、政務に明け暮れる日々。過労で倒れた事もあるが、今にしてみれば過ぎた事。些事は棄ておけ。そんな態度で部下や同僚の忠言を聞き流していれば、彼を気遣って掛けられる声も次第に減っていく。
     今では、執務室で黙々と筆を走らせ続けるそんな法孝直とその脇に積まれている書簡の山に物申せる人は限られていた。身分の事もあるが、助言して言うことを聞く……そんな関係性を彼と築けている相手となると極めて少なかった。加えて、話が通じるくらいには賢くて、口も堅くなければ。万一の事も考えれば護身術の心得まであると尚、良い。
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