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    謝罪

    cal

    SPUR ME【謝罪の極み】ワンライ叶わず
    ま、まにあいませんでした
    monthly龍千_11月 ペルセウスは北米に到着した。降り立ったエリアに特設のキャンプサイトを設置し、俺たちのアジトが出来上がるまでものの数時間。オンスケジュールの航海もサバイバル然とした生き方も、経験を会得した海の民たちにはすっかり手慣れたものだ。そのバイタリティとタフネスをもって住環境が整えられ、そうして着実にロードマップの駒を進めているところだった。
    「龍水様の具合に違和感があります。ちょっと席を外させていただきます」
    「?」
     昼時のこと。食事の準備にシュトーレンを手にしたフランソワが徐にこんなことを呟いた。龍水の体調が悪いらしい。フランソワは言わずもがな対龍水限定の臨床心理士であり、かかりつけ医であり、親かそれ以上のエスパーじみた千里眼を持つのだ。だから疑う余地なく俺もそれが気に留まって、持ち出し用のミニ窯をいじくっていた手を止めて視線をあげた。航海を短いスケジュールでの強行突破したのだ、無理をさせた自覚はある。いくら自己管理の鬼と言えど少しは堪えたに違いない。例えば心因性の眩暈とか、胃腸の調子とか、整体的な筋骨の不具合とか。はたまた自律神経系の疾患だって、龍水がどれを患っていても責められる立場ではないのだ。そうだとして、薬の存在。心身のリラックスのためのマッサージのエトセトラがさて間に合うだろうか。そんな調子で俺なりに相当な心配を過らせながら見渡して、すると十数百メートル先のところにあいつは居た。いつもの身なりでしゃんと立ち、司と何か喋っている。
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    DOODLEザライブ「…未来へ」に脳を焼かれているヒルマゲント限界オタクが脳内のイマジナリー神尾ジンさんを通して出力した怪文章。
    ジンさんのモノローグ。ほぼ全編捏造注意。細かいことは気にしないで下さい。

    え?たぶん彼はこれからもずっと亡くした相棒の事を引き摺るし思い続けるでしょうよ。墓参りの言葉から謝罪が消えて、他愛のない雑談と近況報告が増えるのだろう。
    あの世から心を込めて 相変わらず、ここは暗い。光の射さない空と底の無い足元、時間の流れも魂の存在も曖昧になるこの場所は、所謂地獄というヤツだ。ま、責め苦を受けるわけでも無ければ戦いが起こるわけでも無い、穏やかでひたすら無味な死後の世界と言った方が当てはまるかな。
     ここにやって来たヤツは、初めのうちはその魂を保っている。どうやら、現世でそいつの事を覚えている存在が多いほど、魂の輪郭を保てるみたいだ。時間が経てば人は死人を忘れていく。曖昧で、ぼんやりとしたかつての自我の欠片達が流れていく。
     俺?俺は…そうだな、死んでから結構時間が経ってるけど、まだ俺を保ってる。現世で未だに俺の事を引き摺ってるやつが居るんだ。俺の事をずっと覚えてて、ずっと悼んでくれている。それが誰かはわかってる。時たま、暗い空が割れて、あっちの声が聞こえる。またあのバカ、俺の墓の前で謝罪してる。いい加減前を向いて欲しいもんだ。
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