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    遊園地

    松島 月彦

    DOODLE遊園地に行った話「これ乗りたい!」
     フィンレイが一つのアトラクションの前で足を止める。飛行機を模したゴンドラが上下に動きながら垂直軸の周りを回転する遊具のようだ。メリーゴーラウンドが宙ぶらりんになったもの、といったところか。
     飛行機を模しているというのが気になって、車椅子のハンドルを握るボクの手に汗が滲む。エリサも同じようなことを考えたらしく、彼女が横目でアポストロスの顔を窺ったのが分かった。恐らく、フィンレイは三年前の事故のことを知らないのだ。
     しかし緊張するボクらを余所に、アポストロスは意外にも乗り気な様子で「ああ、一緒に乗るとしよう」と返事をした。
    「今度はオレがアポストロスの隣な!」
     胸を撫で下ろしたのも束の間、フィンレイがそんなことを言う。横目同士でエリサと目が合った。フィンレイがアポストロスと同じゴンドラに乗るのであれば、必然、ボクはエリサと同じゴンドラに乗ることとなる。
     正直にいうと、エリサのことは少し苦手だった。人の表情が分からないボクにとって、声は貴重な情報源だ。しかし彼女の声はいつでも完璧に作り込まれており、その本心は消して窺い知ることができない。
     そうでなくとも、ボク 2400