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    JB

    komekami_gt

    PAST内緒のサマリーJB2023 で配布した小話です
    期間限定での再録になります
    おいしいごはんが炊けるのはイデア・シュラウドのおかげ ここのところ仕事が忙しく、自宅にはほぼ寝に帰るだけの生活になっていた。正直なところ、それぐらいなら店近くのホテルに部屋をとる方が睡眠にあてられる時間は長くなるのだけれど、そういうわけにもいかなかった。なにせ家にはイデアさんがいる。二人で暮らし始めて片手では足りなくなっているのでなにをいまさら、ではある。僕だってこのタイミングでなければイデアさんがいようといまいと家には帰らなかった。そう、タイミングなのである。
     先日、イデアさんが世界的な工学賞を受賞した。過去をみても名だたる工学者たちが受賞した誉れある賞で、僕は、僕のイデアさんが評価されたことに鼻高々だった。ところが、だ。ところが当のイデアさんにまったくやる気がない。授賞式? 出るはずないでしょ、と一笑に付すのだ。知っていた。ええ、知っていましたとも。あなたがそういうひとだということは。けれど、はいそうですか、と許すほど僕は甘くはないのです。授賞式、出てください。僕の男は顔も最高なのだと世間にわからせなければいけないので。
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