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    R4

    Asahikawa_kamo

    PASTリプきたセリフで一コマ描く のタグでそらさん(@._S0R4__40B4_)から頂いたセリフ「ちゃんと目を見て言えますか」で書きました。
    無理しがちkgmとそれを叱るidの話。
     一番最初に出来なくなったのは、咄嗟に誰かの一言を掬うことだったと記憶している。次に、喋ることが少し億劫だなと思うことが増えてきていた。そうして、外に出ることがつらくなってきて、食事が面倒だと感じることが多くなった。どうにかこなしているうちに、遂に目の前が霞むようなことが何度も起こるようになってしまった。
     心因性のストレスだろうというのは大いに理解していたけれど、それでも病院にかかる程度が精々関の山。入院は出来ない、もっと言えば休むことさえ難しいと医者に言えば、難しい顔でいくつかの処方箋を出してくれた。それを飲みながらどうこう誤魔化しつつ動いている内に、その朝がやってきてしまった。

    「……?」

     歌が歌えないと、唐突に気付いた。気付いてしまった。声を音にすることが出来ない。メロディを紡ぐことさえままならない。喋ることは出来る、音を出すことも出来る。けれど、この声が明確な音階にならなかった。それを知った時、はくりと口が呼吸を薄く吐き出して、溜息にもならず気化していった。自分の存在意義が、不明瞭になったのだ。
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    k_Salala

    TRAININGジェイ←フロに見せかけたジェイ→←フロが番になるまでとそれに嫌々巻き込まれるアズールのよくある話です。フロイドの記憶力や音楽の才能を拡大解釈し表現しています。彼はきっと海の魔物。無名のモブが沢山喋ります。
    R4.12末現在までの原作ゲームの内容は一通り履修していますが、忘れている部分があるかもしれません。色々捏造を含みます。某ミュージカル映画を批評する目的で書いたものではありませんのでご容赦を。
    束縛の咬魚は誘惑と番いたい【2】*****


    トントンと食材を切る音。ジュワっとフライパンで料理を仕上げる音。カチャカチャという食器を片す音に流水音。それにタンタンと軽やかにリズムを奏でる楽しげな尾鰭の靴音。これまでずっと共にいた片割れにとっては聞き慣れている優しく軽やかな歌声が作業音に彩りを添えている夜のラウンジのキッチンで、ジェイドは目的の人物に声を掛けるタイミングを計り兼ねていた。

    『〜〜♪ 〜♪ 〜♪』

    今夜の気まぐれなシェフはご機嫌麗しいらしく、歌を口遊みながら明日のための仕込み作業をするのに夢中のようだ。ホールへの出入り口に背を向けて台に向かっているフロイドは、少し前から様子を窺っているジェイドにまだ気づいていない。代わりに他のキッチンスタッフの一人がジェイドを認め、わざわざ近くにやって来て小声で話し掛けてきた。何事かあったのだろうか。
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