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    MOURNING夜の創作お題bot @odaiibot様より
    ・さまざまな捏造
    ・全然わかってないまま書いてる、練習
    ・性格がよろしくないのでは?
    ・これはあなたの欠片 トーマの朝は早い。日が昇る前から起きだして、まずは主たちの朝の準備を行う。洗面用の冷たく清らかな水、料理人たちが献立を考え抜いた朝食、その日の予定に合わせた衣装。もちろん、トーマひとりで全てを管理しているわけではないが、それぞれの専門のものたちが誂えたそれらを、主君へと差し出す栄誉ある役割を任されているのがトーマだ。勿論これはトーマと主たちの間にある信頼と、これまでこの家のために方向を続けてきた結果によるもの。主の私的な部分に触れる人間は、できるだけ数が少ない方がいい。そうして、神里綾人というひとにとって、その立ち位置にいられる「無害」な存在としては、今のところトーマが最も適任なのだ。これがもう少し増えれば主も雑務をいくらか手放して楽になれるのだろうけれど、その信頼に耐えうるだけの人間を見つけ出し育成するという時間と労力を考えたとき、主の天秤はいともたやすく現状維持に傾いてしまうのだ。彼の多忙さを思えば、それも致し方ないと苦く思う。その片隅にじわりと滲む、優越感と罪悪感が一緒くたにまじりあった欲については、今日も見ないふりをした。
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    MOURNING夜の創作お題bot @odaiibot様より
    ・さまざまな捏造
    ・全然わかってないまま書いてる、練習
    ・自主ワンドロの続き
    その不器用な愛を、いとしいと思っていた 神里の家には、家人たちの住まう区画も存在している。自身の家を持ち、そこから奉公に来る者たちも当然いるのだが、例えばトーマのように、主の私生活に深くかかわっているような――少なくとも、やろうと思えば暗殺を試みられるような立ち位置の人間たちは、神里家の中で寝起きすることが多い。これは主たちを守るという意味であると同時に、家人ら自身の身の安全にもつながっており、きな臭い政争を共に被ることになる家人らへの気遣いのひとつだった。トーマのように身寄りがないものにとっては、衣食住の食(まかない)と住(寝床)が保証されているという時点で申し分ない環境である。もちろん、これが強制されているわけでもなく、トーマとて外に部屋を持ってはいる。それだけの蓄えはあるし、何より主たちからも外の世界を見聞きすることや羽根を伸ばすことは奨励されているのだ。主たる存在と同じ空間に四六時中いなくてはならないというのは息が詰まるでしょう、と微笑みながら、さらさらと住居の申請書――トーマの身元保証人として登録されているのは神里綾人そのひとであるので、申請には彼の許可がいるのだ――を記す主の言葉は、今もよく覚えている。
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