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    悲壮感

    カエル

    MOURNING兎赤版ワンドロワンライ
    お題:ペット 21.09.04

    付き合ってない、アラフォーな二人。木兎さんが少し早く現役引退してて……と言う悲壮感は0のお話です。
    2LDK庭付き、駐車場有り、ペット可 太陽みたいなその人が俺達の前から姿を消して、もう彼此六年が経っていた。姿を消して数か月後から時折、思い出したように気ままに、気紛れに届くようになった彼からのポストカードはとうの昔に両手足の指でも足りない数になった。
     旅先で買ったのだろうそれは、その国々の街並みや人々の営み、風景などの写真で、必ず現地の言葉の挨拶と「赤葦におすそ分け!」と言う一言が添えられていた。彼の声が聞こえると共に異国の風までそよいでくるような、そのポストカードは細やかな俺の楽しみとなっていた。
     木兎さんはきっと今日も、地球の何処かで誰かの心を照らしてる。





     誰よりも楽しく、弾けるようにコートの中を駆けて、羽ばたいた木兎さんは惜しまれつつも三十二歳で引退した。足の怪我が原因だった。日常生活や軽い運動ならば問題ないとの事だったが、日の丸を背負って世界の最前線で戦うのはもう、無理だった。化け物世代モンスタージェネレーションと呼ばれた世代の中では誰よりも早い戦線離脱となった。
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