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    相合傘

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    ごたん

    DONEうさかどに相合傘してほしいな…の妄想からできた産物
    惚れている方が 駅に着くとそれは無情にも地面を濡らしていて、その場にいる全員を絶望に陥れていた。今日はずっと晴れると天気予報のお姉さんが言っていたのに何だこのバケツをひっくり返したかのような大雨は、さすがにこの中走ったら前が見えないな…。タクシーで帰ることも考えたがそこに行くまでにビショビショに濡れてしまいそうでドライバーさんに迷惑をかけることを考えやめる。だからといってコンビニで傘を買うのも躊躇してしまいそのまま止むまで留まることにした。恐らく通り雨だろう。明日は休日だからのんびり酒が飲めると思ったんだがなぁ、早めに仕事が終わったと思って浮き足立って帰宅したらこれだ。やはりツイていない。
    駅の中から早く止まないだろうかと外を眺めていると段々と雨脚が弱まっていく、やはり通り雨だったか。今くらいなら走って帰れるだろうか。カバンの中に大事な資料が入っていなかったか思い出し雨の中に出ようと決心したところで向かい側からこちらに人が近づいてきたことに気づく。その姿に既視感を覚え、目を凝らしてみるとそれはとてもよく見なれた人物だった。程なくして相手もこちらに気づくとブンブンと手を振り雨を弾きながら駆け寄ってくる。傘を閉じて笑顔で目の前まで来たソイツを呆然と見つめ返してしまった。
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    立花青

    DONEwt王子/戦略的に相合傘をしたい王子くん
    雨と秘密とストラテジー「ぼく、雨の日ってあまり好きじゃないんだ」

    その言葉とは裏腹に穏やかな笑顔を浮かべたままでいるんだから、一体それがどこまで本心なのか私にはいまいちわからない。

    「雨の匂いってさ、ペトリコールっていうんだけど…ぼくは結構好きなんだ、あの匂い。雑音は雨音に溶けるし、それにほら、ああいうのとか」

    王子くんの指先は私を飛び越えた先のマンションの生垣を示した。「花びらを伝う水滴ってキレイじゃない?それに香りも強くなる」なるほど、言われてみると甘い花の香りがする。

    好きじゃない。と、確かに王子くんはそう言ったはずだ。それなのに今までに挙がったのは全部好きな理由で、その表情にも似つかわしい。ポツポツと傘を打つ水滴は私の傘にも王子くんの傘にも同じように落ちる。それなのに、どうしてだろう。王子くんの傘を伝い落ちる雨粒はきらきらと輝いて見える。その光景に思わずうっとりしてしまうのは致し方ないことだとは思うけれど、私が彼をじっと見つめたままでいるのは単に見惚れていたからじゃない。『好きじゃない』理由を聞きたいからだ。先が読めない王子くんとの会話は一瞬たりとも気が抜けない。次は何を言うんだろう。どんなお話を聞かせてくれるんだろう。どうして雨の日は好きじゃないんだろう。期待に胸を膨らます私の心を読んだみたいに、王子くんがふっと小さく笑って再び口を開いた。
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