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    くちづけ

    amei_ns

    DOODLEくちづけがしたいトールとわからない呂布の雷飛くちづけを、トールが願ってくるとき。
     呂布はトールのことが一瞬わからなくなる。
     武器を交えれば、理解し合えたはずの相手のことが、わからなくなる。こんなことはいままでなかった。なぜなら、武器を交わした人間は、みんな死んだからだ。みんな、殺したからだ。けれど、相手は人間ではなく、神であるから。しかし、しかしそれだとて、わからないはずもないことなのに。
     くちづけを乞う、普段よりも柔らかで、甘やかな声が、呂布を苛んでいることを、トールは知っているだろうか。きっと知らないだろうな、と呂布は自嘲する。
     それを隠して、呂布はトールの願いを受け入れる。拒否してもいい。それを言う権利を、呂布は与えられている。けれど、そうはしない。何故だ、と誰に尋ねられることもないことを、呂布は自らの中で繰り返す。さて、何故だろうな、などと曖昧にして、呂布はトールの願いに、ああ、と肯定の返事をする。
     そっと、壊れ物を扱うかのように顎を掬うトールの手が嫌だった。
     逃げられないよう力任せに押さえ付けられた方が、遥かにマシだった。
     では、呂布はトールからくちづけを受けることが、嫌なのだろうか。拒絶している意思を示 1108