Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    シャーク

    hasami_J

    DONE(1)(2)はタグ参照。
    タイトル通りの自PCの小話。

    ■ローンシャーク
     超人的な瞬間記憶能力と再現能力を持つ傭兵。瞬間記憶によって再現した武装と、トレースした他人の技を使って戦う。能力の代償に日々記憶を失い続けている男。
     金にがめつく、プライベートでの女遊びが激しい。
     セカンド・カラミティ以後はヒーローサイドの仕事を請け負うことも多い。曰く、多額の借金ができたからだとか。
    ローンシャークの隣で女が死んでる話(3) 時刻は昼下がりを迎えていた。
     老女、シスター・フローレンスの日常は、日々静かで穏やかなものだ。神に仕える者として、神の家の雑務をこなし、行き場を失った幼児たちの世話をし、祈りと共に眠る。
     もちろん、本当はそんな単純なものではないのだろう。世界は幾度も崩壊の危機に晒されているし、今日もどこかで悲劇が起きている。そうでなくとも、セカンド・カラミティの被害を色濃く受けた地域の一角に建つ教会は、未だに過日の姿を完全に取り戻せてはいない。
     花壇への水やりを終え、裏手に建つ墓地へと向かう。供物の取り替えや、雑草の処理、墓石の手入れ。やるべきことはたくさんあった。
     墓は真新しく、多かった。惨劇で喪われた多数の命が、この土地に眠っている。けれどそれは惨劇の中のほんの一部でしかないのだ。この場所に立つたびに、フローレンスは胸が締め付けられるような思いに襲われる。この中には、彼女よりも若い知り合いも眠っている。
    10887

    hasami_J

    DONE(1)はタグ参照。
    タイトル通りの自PCの小話。

    ■ローンシャーク
     超人的な瞬間記憶能力と再現能力を持つ傭兵。瞬間記憶によって再現した武装と、トレースした他人の技を使って戦う。能力の代償に日々記憶を失い続けている男。
     金にがめつく、プライベートでの女遊びが激しい。
     セカンド・カラミティ以後はヒーローサイドの仕事を請け負うことも多い。曰く、多額の借金ができたからだとか。
    『ローンシャークの隣で女が死んでる話(2)』 例えば。
     切符を買おうとして、券売機の前で手が止まったとき。
     そうして考える。──『今、俺はどの券を買おうとしていたんだ?』
     東へ行くのか? それとも北? リニアに乗りたかったのか、それともメトロ? 疑問はやがてより根本的なものになっていく。つまるところ──ここはどこだ?──俺はどこから来た?──俺は誰だ?──そういう風に。
     振り返っても何もなく、前を見ても行く先は見えない。雑踏の中で立ち止まって泣き喚いたところで意味はないので、ただメモを開く。考えがあってのものではない。ただ手にした銃の銃口を自分に向けることのないように、空腹の満たし方を忘れないように、体に染みついたルーティンに従うだけ。
     メモの中には、今までのセーブデータがある。それをロードし、新しいセーブデータを残していく。その繰り返しで、ローンシャーク──あるいはシャイロック・キーン──少なくともそう名乗る誰か──は出来ている。
    7364

    hasami_J

    DONEタイトル通りの自PCの小話。

    ■ローンシャーク
     超人的な瞬間記憶能力と再現能力を持つ傭兵。瞬間記憶によって再現した武装と、トレースした他人の技を使って戦う。能力の代償に日々記憶を失い続けている男。
     金にがめつく、プライベートでの女遊びが激しい。
     セカンド・カラミティ以後はヒーローサイドの仕事を請け負うことも多い。曰く、多額の借金が出来たからだとか。
    『ローンシャークの隣で女が死んでる話』(1) シーリングファンが回る天井、糊の利いた清潔なシーツと、皮膚を撫でるリネン。控えめな間接照明を上書きする、東向きの窓から差し込む青みがかった日差し。
     夢から覚めたような心地だった。
     あるいは実際に眠りから目を覚ましたのかもしれなかったが、どちらであるのかを確かめるのは、自分一人では困難だ。次に感じるのは強烈な違和と不安感。背筋を這い上がるおぞましいそれを押し殺し、デバイスを探る。何千、何万と繰り返してきた動きは、頭が漂白されようと、体が覚えている。適切に作動した。
     現在時刻の確認、GPSを起動し現在地点を把握。今は朝、ここはシアトルの安価なモーテル「キャビン・キャビン」。最後に残されたメモを開く──昨晩はお楽しみだったらしい。
    4182