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    ロッド

    きたまお

    TRAININGロッド・レイス巨人のところで久々に合流したエルリ夜明けまではまだ相当時間がある。
     普通であれば、せいぜい月の光しか届かない夜中に、地上からの赤い炎が空を焦がす。木々や草地が燃えている。あたりはずっと鼻をつまみたくなる焦げ臭い匂いが充満している。炎にあぶられて生木が割ける音、草が燃えさかるごうとした音が絶え間なくしている。白い煙、黒い煙が一帯を覆っている。
     リヴァイの視線の先では、赤黒い小山のようなものがうごめいている。四肢をつっぱり、先へ先へと進んでいる。地を削りまっすぐ進み、進行方向にあるものはすべて踏み潰している。林も、畑も、農家も、大地すらも巨体の下になり、潰れ、燃えかすになっていく。先ほどから馬車の荷台の上からエレンが声をからして叫んでいるが、効果があるようには思えなかった。
     そもそもリヴァイはエレンが壁外で巨人たちを操ったという現場にはいなかった。戻ってきた調査兵たちの証言をあわせると、どうやらエレンが操ったらしいという結論に達しただけだった。あの、意思もなにもない巨人を操るなどできるのかは疑問だった。本気にしたわけではない。女型の巨人にそれらしい行動があったので、いまはわずかな確率でも試さないわけにはいかなかった。 1564