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    執事

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    DONE①名前を呼んでほしい坊ちゃん
    ②坊ちゃんと特別授業
    ③坊ちゃんと激おこ執事
    ④坊ちゃんと悪天候
    ⑤風邪ひき坊ちゃん
    SSまとめ◆名前を呼んでほしい坊ちゃん
    「坊ちゃん、起きてください」
    聞こえてきた声に、ふわふわとぬるま湯の中に浸かっていた意識が浮上する。瞼越しに柔らかい光が差し込んで、遠くからいつも窓際にいる小鳥たちの鳴き声がした。柔らかい布団の中良好な睡眠をとったお陰で頭はすっきり冴えている。いつもの自分ならすぐにでも起きておはようと返事をするだろう。
    「……坊ちゃん?」
    けれど今日は違う。寝返りを打って、枕に顔を埋めて、聞こえていないふりをする。下手な演技だろうが、そこは問題ない。寝たふりも、その意図も、彼は正しく理解してくれるはずだ。
    (――今日こそ名前で呼んでもらうまで起きん)
    彼、炎司が執事となってから短くない時間が経ったが、生真面目な彼は啓悟のことを頑なに「坊ちゃん」と呼ぶ。それが嫌と言うわけではないが、折角なら名前で呼んでほしい。だって以前は名前で呼んでくれていたのだ。それが主従関係になったからダメだなんて。『前みたいに呼んでほしい』。ある時ぽろりと零したそんな些細なお願いに、炎司の解答は無情にもNOだった。
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    住めば都

    DOODLEあくねこ。ナックとハンバーグの話。友情出演、ロノとテディ。
    執事たちの話題に上がるだけですが、美味しいもの大好き自称食いしん坊の女性主様がいます。
    後日、お礼を伝えられた主様は「私が食べたかっただけだから」と苦笑したそうです。

    お肉が苦手なナックに豆腐ハンバーグとか大根ステーキとか食べさせてあげたい気持ちで書きました。
    美味しいは正義 今日に夕食のメニューは、ハンバーグだ。
     食堂に向かう道すがらで会ったテディが、鼻歌混じりで嬉しそうに言うのを聞いて、ナックは落胆の気持ちを曖昧な笑顔で濁した。
     ナックは肉全般が苦手だ。メインが肉料理の日は食べられるものが少なく、空腹のまま夜を過ごすことも多い。
     だが、ハンバーグを心から楽しみにしているらしい同僚に、それを伝えることは憚られた。食事は日々の楽しみだ。テディには心置きなく、好物を味わってほしい。
     食事の時間は一応決まっているが、執事たちは全員揃って食事を取るわけではない。一階や地下の執事たちはそろって食べることが多いようだが。
     決められた時間内に厨房へ顔を出し、調理担当に、食事に来たことを告げる。そうして、温かい料理を配膳してもらうのだ。
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