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    ミトコンドリア

    DONE『かくのみにありけるものを君も吾も千歳の如く頼みたりけり』

    相互の誕生日に捧げた👹🦊
    ▓隠し 待ちに待った夏祭りの日だってのに熱が出て、ミスタはひとり布団の中で不満げにグスグス鼻を啜っていた。
     昼には38度近かった熱も日が落ちるにつれて和らぎ、暇を持て余してウゴウゴと暴れる。少しダルい感じはあるが動けないほどではなかったので、夕食を持ってきたお手伝いの老婆に行ってもいいか訊いたのだが、案の定宥めすかされて畳の上に逆戻りである。
     壁掛け時計の針の音が畳に落ちる。ボーーン…と間延びした渦巻きリンの鈍い音が午前2時を告げた。全ての生き物が眠るこの時間を丑三つ時というのだと、ミスタは3歳のときに病気で死んだ祖父に教えられて知っていた。
     パチッと目を開けて、庭に面した障子をゆっくり開ける。冷たい沓脱石に縁側の下に隠しておいた草履を履いた足の裏をペタリとつけて、十数えた。それで誰も起きてこないのを確認してからミスタは勢いよく走り出した。裏の勝手口から猛然と家を出て、田舎のだだっ広い畦道を突き進む。真夏の生ぬるい風が火照った頰を撫でた。高い空に幾万の星がチカチカしている。蛙と虫の鳴く声を置き去りにして、珍しい鬼を祀っている神社の長い石段を駆け上がった。人々の喧騒と馬鹿囃子が近くなる。
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    花式 カイロ

    DONE自創作「モノクロの君に捧げるモノローグ」一話です。加筆修正したものになります
    一話 対異形人工亜人 昔々、そのまた昔。異界という場所はとても穏やかな魔力に満ちていた。異界人たちはともに笑い、動物たちはのびのびと過ごし、個人個人が自由に生きる。正に平和と自由を描き写したようなその世界のバランスは、ある日突然崩れ去った。
     異形。魔力を生命源とし、生きるために他の生物を食い殺す化け物。突如現れ、瞬く間に溢れかえったそれが異界の脅威となるのに、そう時間はかからなかった。
     異界人たちは絶望した。魔法もろくに効かない未知の化け物。異界の生物は減らされていく一方。誰もが諦観していた中、異界に存在する五つの国のうち「亜人ノ国」の研究者たちは、異形と渡り合うべく死力を尽くした。
     戦いの最中研究を重ね、ついには異形に対抗しうるとある“もの”を造り出した。「亜人ノ国」に住む魔法使いと魔女。彼らをオリジナルとして生まれた者たち。彼らは高い戦闘力と豊富な魔力、そして他の種族とは違い異形に対して致命的なダメージを与えることができる特異性を持っていた。救世主とも言えるその者たちの誕生に、人々は驚き喜んだ。
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