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    蝶々

    kemuri

    MEMO冬の蝶々は狂気を吸う/フロリド息が白い。すっかり冬になってしまったがウィンターホリデーはまだ先だったな、と冷える指先を手の中に握り込みながら思い出す。踏みしめる地面もすでに枯れ葉が積もっている。
    外壁の隅、教舎と教舎の間に見慣れたターコイズブルーの頭を道すがらに見かけた。足元には……オクタヴィネル寮の腕章を付けている生徒が何人か倒れ落ちている。ドスの効いた怒声も罵声も飛んでいるし、殴っているのか蹴っているのか鈍い音も耳に入ってくる。
    これがハーツラビュル寮の生徒であれば一も二もなくその首を刎ねていたがそれ以前にアイツは例外だ。眉間に皺の寄る話だが、他寮である上にそもそも自分が関わると幾分不都合なことになるだろうことは経験則で知っている。あとでアズールに連絡を入れようと考え足早にそこを離れようとすると、案の定後ろから聞き慣れた甘ったるい猫なで声がかけられてしまった。
    「金魚ちゃんだあ~!何してんの?散歩?」
    へらへらとした顔をしてこちらに駆けてくるフロイド。手の甲をだらしなくはみ出たYシャツになすりつけて汚れを落としているし、今更何をどう見た目を気遣うのか短い髪を手櫛で整えている。
    「それはこっちの台詞だよ。キミ、自 1119