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    マーメイ

    hirameria1997

    DONEワンダーランドの海で暮らすマーメイドぬすじと、売れないベーシストぬすまるの恋物語。****注意:悲恋です****
    2023年5月のプリコンにてマーメイドぬすじが本になります!!
    こちらは収録される修正版です。他書き下ろしとして続編となる「マーメイドぬすじ・リターンズ」と「epillogue〜帰国の途中〜」が収録されます。全体の3/2程度が書き下ろしです。
    マーメイドぬすじ『ワンダーランドの海には“上半身がぬす、下半身が魚"の未知なる生物がいるという』
     
     人魚——それは昔から言い伝えられてきた神秘的な存在。時を経ていつしか童話にもなった美しくも悲しいその物語は、長きに渡ってワンダーランドの子ぬすたちに広く親しまれています。
     
     ぬすじはまさに現代に生きる「人(ぬす)魚」でした。上半身は普通のぬすと同じで下半身は魚。……とはいっても、魚の形状をしているだけで質感はぬすの肌と変わりません。フカフカとした感触もぬすそのもの。しかし性質だけは魚にかなり近く、水辺でないと生きてはいけないのです。
     そんな特性からとても希少であり、普通のぬすとの交流はほぼない生活をしている「人魚」という種族。ぬすじ自身はというと陸の上の生活やそこで暮らす脚のあるぬすたちに興味はあるのですが、自分には縁のないものとして一線を引き、海の中でひっそりと暮らしていました。
    19934

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    TRAINING4/16ワンライ
    お題【マーメイド/生霊/胸】
    さしす。八百比丘尼を保護しろという任務を命じられた三人のお話です。
    人魚と紫陽花 人魚の呪霊が流す涙を体内に取り込むと、長生きが出来る。
     そんな噂が非合法の骨董マーケットの間で立ったのは、俺たちがまだ高専一年の夏に差しかかった頃のことだった。古式ゆかしい八百比丘尼が現代に現れたのなら、伝承通り肉を食えばいい。でも何故今回は肉でなく涙なのか。俺にはそれが分からず、傑も不思議そうな顔をしていたように思う。
    「それで今回の俺たちの任務は?」
    「八百比丘尼の保護」
    「あぁ、面倒臭そうだなぁ……」
     そんなこんなで、俺は傑と二人で八百比丘尼を探す羽目になったのだった。
     でも、八百比丘尼は、人魚はすぐに見つかった。彼女が自分から、俺たちが学ぶ高専に近づいてきたからだ。彼女は教室で多分涙なのだろう、透明な液体が入った瓶を下げた胸元にナイフを置いて、生霊みたいな顔をして、「もう、私を殺してください」と言った。いや、俺たちが命じられたのはあんたの保護でそういう物理的な殺害じゃない。というか不老不死なのにナイフで刺せば死ぬのか。俺はそれを疑問に思ったが、教室にいる誰もがそれを尋ねなかった。
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