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    オペラ

    @t_utumiiiii

    DOODLE「この歌劇では正義よりも慈悲が重んじられるのだ」(三文オペラ)/「ホワイトサンド孤児院にリサは収容されていたが、ピアソンは顔を覚えていなかった」という前提で、ピアソンさんがたまたま懐具合に余裕があったのでリサを病院に売らず手元に置いたifルートのピアソンさんとリサ ※暴力・虐待を連想する描写があります
    乞食王(泥棒遡及妄想時空のピアソンとリサ) いっときはホワイトサンドストリートに建てた「自分の王国」から追放されるという憂き目を見たものの、出獄後の通りすがりでたまたますれ違った紳士の財布を元手に始めた私的な金貸しの副業が大当たりしたピアソンは、今や、ある意味で裏路地を取り仕切る顔役となっていた。食い詰めたよそのものが住処を追い出されて流れてきて、ここらの地べたに座り込み哀れみを乞うには、「乞食商会」を束ねる彼への「届け出」と「許可」、そして、稼ぎの半分を上納金として納めることが必要だった。
     王は王でも「乞食の王」という身分は、彼がかつて肩書きにしていた“慈善家”と比べれば、社会的な地位としては雲泥の差だ(と、ピアソンだけがそう思い込んでおり、実態としてはどちらもそう大差ないのだ)が、何であれ、自分を長に据えた居場所があり、自分が汗水だけに留まらず、時に血を垂らしながら何かとあくせくしなくとも、他の乞食どもの上前で酒を飲むぐらいはできるのだから、まあ、それなりにいい身分ではあった。
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