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    ヒモ

    kk_snz_

    MOURNINGヒモな真i一i郎くんと、初恋を自覚する若i狭くんと、女の子が好きな武i道の話。
    あんまり誰も幸せにならない予定
    シリウスが見た夢- シリウスが見た夢 -
     酒の匂いと上司からの説教、後輩の終わらない自慢話に耐えられなくなり、気付いたら店の外へでていたらしい。長年勤めた社員の送別会とは言え、明日、俺は早番で、携帯で時間を確認すると、思わず溜息が漏れた。先ほど気の利く女子大生バイトの子が追加注文をしていた様子から、まだまだ居座るつもりなのだろう。ラストオーダーまで1時間以上もある。仕切りなしに届く友人達からのメッセージを一通り返事をしてから、覚悟を決めてもう一度暖簾をくぐろうとした時、甲高い女の叫び声が聞こえ反射的にその方向に振り向いた。
     
     酔っ払いか何かに絡まれているのであれば、助けられるかはさておき声を掛けようとも思ったが、どうやら恋人との喧嘩のようだ。かなりキツイ罵声を男に浴びせ、男はそれに言い返すことも手をあげることもなくただ黙って女の言葉を聞いている。ヒートアップする一方的な喧嘩に行き交うサラリーマン達が囃し立てては通り過ぎていく。夜の街ではよく見るこの光景に終止符を打ったのは女の方だった。まさに良い音、と表現できる音が俺の耳まで届いたと思ったら、女は既に踵を返しいかにも怒っているという足取りで立ち去っていき、残ったのは立派な平手打ちをされた男だけだ。
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