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    恐怖

    やま富士

    MEMOこの絵と、原作のワブ周辺の個人的解釈

    <絵の話>
    本当は去年の母の日に上げるはずだった絵
    当時絶賛ドスランプ期だったのもあるけど原作を飲み込むのが何よりしんどくてしんどくてしんどくて諦めた
    けどいつか描ける精神状態になったときのためにラフデータは残しておいた
    仕上げることができてほっとしたけどやっぱり辛かったな

    背景の物体はワブが自らの能力で、あるいは他人から具現化系能力を借りて生成させたものの一部
    (番号は登場話数)
    素敵なおもちゃや豪華な食事やインテリアが無限に増えていく生活は裕福そのものだけど、実際は術者が死ねばすべて消え去るかりそめの幸せでしかない
    二人はその幻覚に死ぬまで気がつかないのかもしれないけど、火を放たれたって切り刻まれたって痛みも苦しみも感じずに、ずっと夢を見たまま二人寄り添って息絶えることがもしできるなら、この上ないハッピーエンドだよと願いを込めて描いた


    <原作の解釈の話>
    ワブが物体を生成する能力を使えるようになったのは368でとある人物を断罪したから
    その人物から一時的に能力を借りる形で発動するため、一方が能力発動中の場合もう一方はおそらく発動不可
    発動条件はビルの瞳を介して断罪した人物を捉えること、発動時には同一空間にいる自陣全員を小型化する
    370でクッションが、371でおもちゃが寝室に増えたとき、一連の動作が確認できる
    (371のダイニングでも同様の動作をしているが、このとき借りたのは断罪した人物の操作系能力のほう)

    371や376でダイニングの椅子が増え、376では料理まで豪華になっていたのは、ワブ本来の能力である空間生成の応用みたいなもの
    自陣に関わる人物が信用に値するかを審判する際に生成される
    発動条件はピカと審判の必要な人物がダイニングに入室すること
    (371のシマヌ、376のベレレ)

    388のおもちゃは発動の蓄積か能力の強化によるもの
    物体や空間を生成する莫大なエネルギーは赤子のワブだけでは維持できないため、ワブと身体が接しているオイトのエネルギーも利用されている
    388で二人が寝ている時でも手を繋いでいるのはそのため


    ここから少し脱線……サイマジョの話
    ワブが断罪する人物=ワブの念獣が敵とみなした人物は、恐怖や悲しみに震えるオイトが両手を組むとオイトの正面に召喚される
    作中でそれが確認できるのは358のカートンと所属不明のヒゲの外部護衛、368のバビ(バビの話は長くなりすぎるので割愛)
    先述の読み方が正しければ断罪された人物の能力はワブに利用されることになるが、358の二人の能力がワブに利用された描写は確認できないし、そもそもヒゲは能力者ではなかった
    それでもワブが二人を敵認定したということは、ワブの念獣が誕生するよりも前に二人が他の操作系能力者と接触して駒にされていた可能性が高い、つまりあの二人のどちらかがサイマジョの発動に関係している駒であったといえる
    二人の死後(正確には360の時点ではカートンは死んでないけど)念の講習会中でもサイマジョの被害者が出たということは、サイマジョの発動条件を満たす駒というものが存在し、おそらくそれは大元の術者をつぶさない限り何度でも生成可能な捨て駒である
    講習会の参加者にサイマジョの主犯がいると見せかけて、実際は1014号室の外部にいる人物が捨て駒を操作系能力者として二重操作をしていたのかもね~と読める
    死者が途絶えたタイミングで講習会に不参加だった人物と358の二人のどちらかに関係性があるとすると、ハンター協会員のカートンよりヒゲが怪しい…講習会の欠席者はどの王子の所属だったか…358で1014号室に登場した、あるいは登場しなかった念獣はどの王子の念獣だったか…などを考えるとサイマジョの主犯って結構絞られるよ、という話~~~~

    続きはまた今度

    クルミ

    DONE深い眠りに恐怖を知る
    深い眠りに恐怖を知る吸血鬼として長い時を生きてきた私に恐怖するものなどないと思っていた。

    昼の子である人間達が寝静まり闇の住人である吸血鬼達が目覚める夜、ノースディンはひとり屋敷にて読書をしていた。前のテーブルにはいくつかの血液ボトルに加え、数品の人間が食べる料理(すべてノースディンの手作り)が並べられているがどれもひとつとして口にはされていない。それもそのはず、このテーブル上のものすべてはノースディンのためのものではなく、つい最近目覚めた彼の愛子のために用意されたものなのだから。
    二百年前、人間と吸血鬼がまだ対立しあっていた時代にノースディンが出逢った悪魔祓い。吸血鬼を狩る存在でありながら、幼くすぐに死ぬ幼い弟子とそれを自ら胸へ杭を刺すことで庇ったノースディンの姿に迷いが生じ、神へ問うために狩るべき相手を見逃したその悪魔祓いは教会へ戻るなり馬鹿正直にすべてを告発した後、教会を追わる身となった。教会を出た彼に待っていたのは様々な苦難。満足な食事にはありつけず、雨風の中で眠るうちに体は痩せ、死に近付いていく。しかし、道中の彼は一度も嘘を吐かずどこまでも馬鹿正直で、そして高潔であった。その姿と心に強く惹かれ、神に渡したくないという自分勝手なままその頸へノースディンは牙を立てた。
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    ケミカル飲料(塩見 久遠)

    DONE病めど狂えないノスと、恐怖に怯えつつ支配されないクラのノスクラ。程度は軽いですが、虫や痛々しい表現を含んでいます。人によっては心に負担がかかると思うので健やかな時にどうぞ。
    2023/2/10にTwitterにアップしたものの再掲です。
    父への献身 これは夢だと気付いている。夢魔の仕業かと見紛う悪夢だ。しかしそれを認識できたからといって、眠りから覚めることはない。どこか遠くから話の行く末を眺める自分と、哀れな登場人物としての自分がぼんやりと交わっていく。

     夢の中で自分は羊になっていた。黒と白の斑の羊だ。荒野を当てもなくさまようのだが、やがて力尽きて動けなくなってしまう。歩みを止めると、何処からともなく鷲が舞い降りてきて体を突かれる。毛皮は既にボロボロで、自らを守るすべと言えば体を丸めて目を閉じるくらいしかない。なされるがまま、肉を食い破られる。血が止めどなく流れ出し、体が冷え切っていくのを感じた。
     満足した鷲が飛び立っていくと、今度は鴉の群れがやってきた。普通の羊であればとっくに絶命しているはずなのに、意識が鮮明に保たれているのは、やはりこれが夢だからなのだろう。痛みはぼやけているが、生きたまま血肉を食われる感覚は何物にも代え難い恐怖となって襲ってきた。それでもまだ目は覚めない。
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