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    2013

    凛花(おがわ)

    MOURNING※リンドウ+慶くんです※
    ■ゲーム中では断片的にしか語られないリンドウさんと慶くんの関係を深読みしたお話です。ゲームオープニングのあのシーンに繋がるまで何があったのかを勝手に捏造しています。恋愛要素はないバディのお話ですが個人的に気に入っている作品です。
    <作品メモ>
    2013年に発行した「背中合わせの君」という小説同人誌に収録しているお話です。
    背中合わせの君 その日、僕は邸の広間で正座していた。
     目の前には兄が居て、さも重大事だと言いたげに厳かに告げる。
    「斉基、江戸の一橋公が我らの従兄弟君であらせられるのは知っていよう」
     何を今さらと、言葉を返すのも億劫で黙礼で肯定する。
     常なら僕の態度に逐一小言を言う兄が、気にかける様子もない。そのまま話を続けた。きっと、これから命じることに比べたら瑣末ごとなのだろう。
     何となく予想はついていた。
    「知っての通り、一橋家は公方の御身内の立場。家臣をもたれない。謀臣もなく大変心許ない思いをなされていると言う。なれば……」
    ——きた。
     と、心のなかで呟く。
    「斉基。下向して公に御仕えしなさい。重大事であるゆえ、京に残す役目諸々、心配せずとも私が引き受ける。そなたは、直ぐに支度をしなさい」
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    凛花(おがわ)

    MOURNING■バレンタインをテーマにしたお話でした。当時、自分の中で創作上の考察などで盛り上がっており、妙にシリアスな話ばかりで単純に甘々なお話というものを書けておらず、何とか糖度を上げていきたいと思って頑張りました。少しは甘いお話になっているでしょうか。
    <作品メモ>
    2013年2月に参加したイベントで無料配布しました。
    Like a sweet chocolate 彼女を追いかけて、この世界にやってきて。
     気に入っているものがいくつかある。
     
     特に、食べ物で言うならチョコレートはかなりお気に入りの部類だ。
     見た目は同じ焦げ茶色の固まりなのに、それぞれに香りや風味が違う。その差は凄く僅かで繊細なのだけれど、それを愉しむという趣向が悪くない。
     もちろん、綺麗に象られた見た目を楽しむというのも僕のお気に入りたる重要な要素だ。
     どこかの誰かが、チョコレートの箱には夢が詰まっているとか何とか言ったらしいけれど、それは間違ってないんだろう。
     大なり小なり、この食べ物には夢が詰まっている。
     
     
     さて、今日はこの世界ではとある行事が恒例であるという。
     曰く、女性が意中の男性にチョコレートを渡して愛を告白するという日らしい。なんとも不思議な話だけれど、それを理由に、愛するゆきが僕の部屋でせっせとお菓子作りに取り組んでいる様を見られるのは悪くない。むしろ大歓迎である。
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