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    凛花(おがわ)

    @gentian1031

    ◯遙か5風花記のリンドウさんを推しています
    ◯コミケ100にてリンゆき再録本発行
    ◯イベント当日まで再録本の内容を紹介していきます
    ◯時々、慶くんも話題に出します
    ◯プロフィールのゆきちゃんはaiさんが描いて下さいました🥰

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    凛花(おがわ)

    MOURNING■初期に書いたお話です。この頃のリンドウの描写は、割と弱気というか殊勝な感じですね。
    <作品メモ>
    2012年遙かなる時空の中で5風花記が発売された直後のイベントで出した「はじめから恋だった」という小説同人誌に収録しているお話です。本のタイトルは【確かに恋だった(http://have-a.chew.jp/on_me/top.html)】様のお題をお借りしたものです。
    掌の上なら懇願のキスクロスを敷かれたテーブルを挟んで、向側に座っているのは誰だったかしら?

    ふと、そんなことを考えた。

    広大な公園の中にある天井と壁の大半がガラス張りのティールームはゆったりと開放感のある空間で、存分に射し込む陽光は、まばらに置かれた観葉植物の葉をきらきらと光らせる。テーブル上でほんのりと汗をかくガラスの水差しの中は、まるで星屑を詰め込んだように大小の輝きで満たされていた。

    向かいの人物は、スッと伸びた脚を組み、手にした本を繰っている。指はほっそりと長く器用そうに見える。細い黒縁の眼鏡越しに見える瞳は長い睫毛が縁取っていた。
    第二ボタンまで緩めたシャツに紺のジャケットが良く似合って居る。
    少し見える鎖骨がいやらしくなることなく清潔感を保っているのは、育ちの良さが見てとれる姿勢とか、どこか洗練された所作のせいかもしれない。
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    凛花(おがわ)

    MOURNING※リンドウ+慶くんです※
    ■ゲーム中では断片的にしか語られないリンドウさんと慶くんの関係を深読みしたお話です。ゲームオープニングのあのシーンに繋がるまで何があったのかを勝手に捏造しています。恋愛要素はないバディのお話ですが個人的に気に入っている作品です。
    <作品メモ>
    2013年に発行した「背中合わせの君」という小説同人誌に収録しているお話です。
    背中合わせの君 その日、僕は邸の広間で正座していた。
     目の前には兄が居て、さも重大事だと言いたげに厳かに告げる。
    「斉基、江戸の一橋公が我らの従兄弟君であらせられるのは知っていよう」
     何を今さらと、言葉を返すのも億劫で黙礼で肯定する。
     常なら僕の態度に逐一小言を言う兄が、気にかける様子もない。そのまま話を続けた。きっと、これから命じることに比べたら瑣末ごとなのだろう。
     何となく予想はついていた。
    「知っての通り、一橋家は公方の御身内の立場。家臣をもたれない。謀臣もなく大変心許ない思いをなされていると言う。なれば……」
    ——きた。
     と、心のなかで呟く。
    「斉基。下向して公に御仕えしなさい。重大事であるゆえ、京に残す役目諸々、心配せずとも私が引き受ける。そなたは、直ぐに支度をしなさい」
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    凛花(おがわ)

    MOURNING■バレンタインをテーマにしたお話でした。当時、自分の中で創作上の考察などで盛り上がっており、妙にシリアスな話ばかりで単純に甘々なお話というものを書けておらず、何とか糖度を上げていきたいと思って頑張りました。少しは甘いお話になっているでしょうか。
    <作品メモ>
    2013年2月に参加したイベントで無料配布しました。
    Like a sweet chocolate 彼女を追いかけて、この世界にやってきて。
     気に入っているものがいくつかある。
     
     特に、食べ物で言うならチョコレートはかなりお気に入りの部類だ。
     見た目は同じ焦げ茶色の固まりなのに、それぞれに香りや風味が違う。その差は凄く僅かで繊細なのだけれど、それを愉しむという趣向が悪くない。
     もちろん、綺麗に象られた見た目を楽しむというのも僕のお気に入りたる重要な要素だ。
     どこかの誰かが、チョコレートの箱には夢が詰まっているとか何とか言ったらしいけれど、それは間違ってないんだろう。
     大なり小なり、この食べ物には夢が詰まっている。
     
     
     さて、今日はこの世界ではとある行事が恒例であるという。
     曰く、女性が意中の男性にチョコレートを渡して愛を告白するという日らしい。なんとも不思議な話だけれど、それを理由に、愛するゆきが僕の部屋でせっせとお菓子作りに取り組んでいる様を見られるのは悪くない。むしろ大歓迎である。
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    凛花(おがわ)

    MOURNING■初期の作品で一番気に入っています!江戸で暮らす二人が見たくて書いたお話です。
    <作品メモ>
    2012年遙かなる時空の中で5風花記が発売された直後のイベントで出した「はじめから恋だった」という小説同人誌に収録しているお話です。本のタイトルは【確かに恋だった(http://have-a.chew.jp/on_me/top.html)】様のお題をお借りしたものです。
    傘の下で二人 陽が天頂を越えたあたりから、しとしとと降り始めた雨。
     ゆきは、部屋を出てすぐの縁側に続く廊下で、静かに空を見上げた。
     庭には梅雨の花々が咲き乱れ、今美しいのは紫陽花だ。色とりどりの花を見ているだけで、穏やかに時間は過ぎて行く。降り注ぐ雨粒に手を伸ばし、柔らかな手のひらに受ける。
     脳裏を過ったのは、明け方から江戸城へ登城している邸の主のことだった。

    *****

    「神子様、何をなさっておいでです?」
     すでに馴染みとなった女中の一人が声をかけた。
    「雨が降って来たから、リンドウさんを迎えに行こうと思うの」
    「神子様が?」
    「神子様、旦那様はお駕篭で帰っていらっしゃいますから大丈夫ですよ」
     驚く女中の高い声と、傘を片手に今にも邸を飛び出さんばかりのゆきを見とがめて、女中頭が奥から出て来て言う。
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