村人A
DONEバレンタインヴァルアル小説今回はディスガイアRPGのイベント後の話ですので、イベスト読んでない人はネタバレに注意です!
これくらいの距離感が好き。
ずっと、隣で。魔界学園。それは、悪魔たちが通う学校。といっても、マトモな悪魔が学校に毎日通う訳が無い。
学校にキチンと通う者は不良、休んだり好き勝手するのは優等生。
そんな学園であったゴタゴタ。『超魔熱血恋愛細胞MK2』を巡る事件が幕を閉じ、静かになった学園の屋上で、並んで座る影があった。
沈黙が包むふたりの合間を、風が縫う。
「…いつまで、その格好をしているつもりだ?」
「あら、いけませんか?わたくしの生前はこんな服装を着る機会がありませんでしたし、新鮮ですもの。もう少しくら、ね?」
ふふ、とイタズラっぽく笑い、眼鏡の奥の目を細めるアルティナに、ヴァルバトーゼはなんとも言えぬ表情を返した。
今ふたりは、並んで座りながらチョコを食べていた。それはアルティナが持ってきた件のチョコではない、また別のものだ。
2132学校にキチンと通う者は不良、休んだり好き勝手するのは優等生。
そんな学園であったゴタゴタ。『超魔熱血恋愛細胞MK2』を巡る事件が幕を閉じ、静かになった学園の屋上で、並んで座る影があった。
沈黙が包むふたりの合間を、風が縫う。
「…いつまで、その格好をしているつもりだ?」
「あら、いけませんか?わたくしの生前はこんな服装を着る機会がありませんでしたし、新鮮ですもの。もう少しくら、ね?」
ふふ、とイタズラっぽく笑い、眼鏡の奥の目を細めるアルティナに、ヴァルバトーゼはなんとも言えぬ表情を返した。
今ふたりは、並んで座りながらチョコを食べていた。それはアルティナが持ってきた件のチョコではない、また別のものだ。
村人A
DONEクリスマス暴シス小説。アルティナちゃんの純真さにペースを乱される暴君様が大好き。
聖夜の逢瀬雪が降り、辺りを白く染めていく。
ツンと凍える空気は、息を吐けば靄のように広がる。
既に足を踏み出せば、ザク、と音がするくらいに雪が積もっていて、そこに真新しい足跡がついていた。
黒い装束についた雪を手で払い、紅の瞳が闇夜の中で動く。
(…今夜は人間共の気配を感じぬな)
目的の場所は明かりがついていて、光が漏れていた。
力を入れると、ギギ…と音を立てて開く。
「あら、吸血鬼さん。今日は遅かったのね」
「……何をしておるのだ?」
いつもより煌びやかな教会の中。
そこに現れたのは、“暴君”と謳われる吸血鬼、ヴァルバトーゼ。
笑顔を向けるシスター、アルティナは彼を招き入れる。
「今日はクリスマスですわ」
「クリスマス…?なんだ、それは」
2576ツンと凍える空気は、息を吐けば靄のように広がる。
既に足を踏み出せば、ザク、と音がするくらいに雪が積もっていて、そこに真新しい足跡がついていた。
黒い装束についた雪を手で払い、紅の瞳が闇夜の中で動く。
(…今夜は人間共の気配を感じぬな)
目的の場所は明かりがついていて、光が漏れていた。
力を入れると、ギギ…と音を立てて開く。
「あら、吸血鬼さん。今日は遅かったのね」
「……何をしておるのだ?」
いつもより煌びやかな教会の中。
そこに現れたのは、“暴君”と謳われる吸血鬼、ヴァルバトーゼ。
笑顔を向けるシスター、アルティナは彼を招き入れる。
「今日はクリスマスですわ」
「クリスマス…?なんだ、それは」
LastQed
TRAININGヴァルアルの恋のようなそうでないようなお話。リヒ+ティナ要素もあります。フーデス姉妹も好きだ。恋せよ者ども!乙女はもう恋の行方を知っている【乙女はもう恋の行方を知っている】
「すき、きらい、すき、きらい」
少女は熱心に手元を見つめていた。どれだけの時間恋占いに勤しんでいたのか、大量の花びらが彼女の周りを取り囲んでいる。そんな光景に、魔界にも花は咲くのだと当たり前のことを彼女は知った。ユイエの花こそ見当たらなかったが、色鮮やかな花々はアルティナの目を大いに楽しませた。
「デスコさん、これは?」
聞き覚えのある澄んだ声にデスコは顔を上げる。良く見知った天使の姿を無数の眼に捉え、少女は無邪気に微笑んだ。
「おねえさまがデスコをどう思ってるか占ってたデス!」
「恋占いですね? 素敵ですわ。でもこれは……ちょっとやりすぎじゃなくって?」
アルティナは苦笑いして足元を見下ろした。柔らかな日差しは積み重なる花々の死骸を照らす。幼さとは時に残酷ですらある。
3402「すき、きらい、すき、きらい」
少女は熱心に手元を見つめていた。どれだけの時間恋占いに勤しんでいたのか、大量の花びらが彼女の周りを取り囲んでいる。そんな光景に、魔界にも花は咲くのだと当たり前のことを彼女は知った。ユイエの花こそ見当たらなかったが、色鮮やかな花々はアルティナの目を大いに楽しませた。
「デスコさん、これは?」
聞き覚えのある澄んだ声にデスコは顔を上げる。良く見知った天使の姿を無数の眼に捉え、少女は無邪気に微笑んだ。
「おねえさまがデスコをどう思ってるか占ってたデス!」
「恋占いですね? 素敵ですわ。でもこれは……ちょっとやりすぎじゃなくって?」
アルティナは苦笑いして足元を見下ろした。柔らかな日差しは積み重なる花々の死骸を照らす。幼さとは時に残酷ですらある。
LastQed
BLANK診断メーカーよりお題「『笑ってください』で始まり、『必要なのは勇気でした』で終わる物語」。アルティナちゃんが臆病を告白する話。臆病と悪魔【臆病と悪魔】
笑ってください、こんな私を。お赦しください、どうか。
悪魔の居城で祈っていると、まるで自分が幽閉されたか、あるいは堕天してしまったかのような錯覚に陥る。いいえ、身も心も、決してそのようなことは。けれど、何故なのでしょうか。此処は幾分、居心地の良い場所なのです。それ故に、必要以上にこの地に滞在してしまっているのも確かで。地獄が心地良いなんて、本当に可笑しな話。
フロン様、貴女が私に明かしてくださった、魔界で過ごした日々のこと。今も忘れられないのです。お話しされた時の、貴女の優しい表情。「アルティナちゃん。すぐに天界に戻る必要はありませんからね。貴女が為すべきことを、為してから戻って来るように。いいですね?」そう、笑顔で送り出してくれたその意味も、もう少しで分かるような気がするのです。
944笑ってください、こんな私を。お赦しください、どうか。
悪魔の居城で祈っていると、まるで自分が幽閉されたか、あるいは堕天してしまったかのような錯覚に陥る。いいえ、身も心も、決してそのようなことは。けれど、何故なのでしょうか。此処は幾分、居心地の良い場所なのです。それ故に、必要以上にこの地に滞在してしまっているのも確かで。地獄が心地良いなんて、本当に可笑しな話。
フロン様、貴女が私に明かしてくださった、魔界で過ごした日々のこと。今も忘れられないのです。お話しされた時の、貴女の優しい表情。「アルティナちゃん。すぐに天界に戻る必要はありませんからね。貴女が為すべきことを、為してから戻って来るように。いいですね?」そう、笑顔で送り出してくれたその意味も、もう少しで分かるような気がするのです。
LastQed
BLANK七夕はいつも雨。ヴァルアルの小話。星の在処【星の在処】
「給料(イワシ)倍増」
「世界征服」
「立派なラスボスになりたいデス」
「父上のような魔界大統領になる」
「いい加減主人が血を飲みますように」
色とりどりの短冊がはためく今日。世に言う七夕であるが、魔界から星に祈ってはならぬという決まりはない。それどころか、一流の悪魔ともなれば星魔法を使いこなすのだから、むしろ星の廻りとこの地は縁深いと言えるかもしれない。
短冊の飾りとして指先で小さな星を作る傍ら、「一流の悪魔」へと話し掛ける。
「吸血鬼さんはどんなお願い事を?」
「大の悪魔(おとな)が今更願掛けするような夢など持ち合わせていると思うか」
お前を恐怖に陥れる……それは己の力で叶えれば良いだけの話だしな。なに、すぐに叶えてみせるさ。そう男が笑えば、こちらもつられてはにかんだ。
640「給料(イワシ)倍増」
「世界征服」
「立派なラスボスになりたいデス」
「父上のような魔界大統領になる」
「いい加減主人が血を飲みますように」
色とりどりの短冊がはためく今日。世に言う七夕であるが、魔界から星に祈ってはならぬという決まりはない。それどころか、一流の悪魔ともなれば星魔法を使いこなすのだから、むしろ星の廻りとこの地は縁深いと言えるかもしれない。
短冊の飾りとして指先で小さな星を作る傍ら、「一流の悪魔」へと話し掛ける。
「吸血鬼さんはどんなお願い事を?」
「大の悪魔(おとな)が今更願掛けするような夢など持ち合わせていると思うか」
お前を恐怖に陥れる……それは己の力で叶えれば良いだけの話だしな。なに、すぐに叶えてみせるさ。そう男が笑えば、こちらもつられてはにかんだ。
LastQed
CAN’T MAKE十字架、聖水、日の光……挙げればきりのない吸血鬼の弱点の話。おまけ程度のヴァルアル要素があります。【吸血鬼様の弱点】「吸血鬼って弱点多過ぎない?」
「ぶち殺すぞ小娘」
爽やかな朝。こともなげに物騒な会話が繰り広げられる、此処は地獄。魔界の地の底、一画だ。灼熱の溶岩に埋めつくされたこの場所にも朝は降るもので、時空ゲートからはささやかに朝の日が射し込んでいる。
「十字架、聖水、日の光辺りは定番よね。っていうか聖水って何なのかしら」
「デスコも、ラスボスとして弱点対策は怠れないのデス!」
「聞こえなかったか。もう一度言う、ぶち殺すぞアホ共」
吸血鬼の主人を敬愛する狼男、フェンリッヒがすごみ、指の関節を鳴らしてようやくフーカ、デスコの両名は静かになった。デスコは怯え、涙目で姉の後ろに隠れている。あやしい触手はしなしなと元気がない。ラスボスを名乗るにはまだ修行が足りていないようだ。
「プリニーもどきの分際で何様だお前は。ヴァル様への不敬罪で追放するぞ」
地獄にすら居られないとなると、一体何処を彷徨うことになるんだろうなあ?ニタリ笑う狼男の顔には苛立ちの色が滲んでいる。しかし最早馴れたものと、少女は臆せず言い返した。
「違うってば!むしろ逆よ、逆!私ですら知ってる吸血鬼の弱 3923