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    last_of_QED

    @LastQed

    ディスガイアを好むしがない愛マニア。執事閣下、閣下執事、ヴァルアルやCP無しの地獄話まで節操なく執筆します。デ初代〜7までプレイ済。
    最近ハマったコーヒートーク(ガラハイ)のお話しもちょびっと載せてます。

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    last_of_QED

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    診断メーカーよりお題「『笑ってください』で始まり、『必要なのは勇気でした』で終わる物語」。アルティナちゃんが臆病を告白する話。

    #ディスガイア4
    disgaea4
    #ヴァルアル
    varial

    臆病と悪魔【臆病と悪魔】



     笑ってください、こんな私を。お赦しください、どうか。
     悪魔の居城で祈っていると、まるで自分が幽閉されたか、あるいは堕天してしまったかのような錯覚に陥る。いいえ、身も心も、決してそのようなことは。けれど、何故なのでしょうか。此処は幾分、居心地の良い場所なのです。それ故に、必要以上にこの地に滞在してしまっているのも確かで。地獄が心地良いなんて、本当に可笑しな話。

     フロン様、貴女が私に明かしてくださった、魔界で過ごした日々のこと。今も忘れられないのです。お話しされた時の、貴女の優しい表情。「アルティナちゃん。すぐに天界に戻る必要はありませんからね。貴女が為すべきことを、為してから戻って来るように。いいですね?」そう、笑顔で送り出してくれたその意味も、もう少しで分かるような気がするのです。

     目を閉じる。私の為すべきこととは、一体なんだろうか。
     徴収? 断罪者ネモの最期を見届けること? それとも他の何か。さて、神様の前に私はいつまで知らんふりが出来るでしょう。

     こうして御祈りを捧げていても、私の頭の片隅で見知った吸血鬼が笑う。紅い瞳が私を見据え、穏やかに、笑う。こんなの、私は天使失格ではないか。
     それでも、あんな悲しい顔はもう見たくないから。どうか笑っていてください。

     臆病な私は心に願って、いつまでも待っているだけだ。手を伸ばせば届く距離、そう分かっていながら動けないのは、どうしてだろう。

     ああ、天使長様。もう少しだけ、地獄(ここ)に居ても良いでしょうか。きっと私に必要なのは、貴女のような勇気でした。


    fin.


    +++++++++++++++++++++


    おまけ

    「いつまで居座っているんだろうな、天使様は。用が済んだならとっととお帰りいただきたいものだ」
    「地獄にいる天使って大丈夫なんデスか? 最初の街にいるラスボスみたいな違和感がありますデス……」
    「そ、それは…まだ徴収が終わっていませんから……」
    「あれだけ巻き上げといてまだ徴収するのかよ?!」
    「分かってないわねー、照れ隠しよ! 照れ隠し!」

    ヴァル様のいないところで繰り広げられる会話のあとで、アルティナちゃんが臆病を神様に告白する話。でした。
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    last_of_QED

    DOODLEガラハイ🐺🦇【stand up!】
    お題「靴擦れ」で書きました。ハイドがストーカーに刺された過去を捏造しています(!?)のでご注意ください。

    ガラさんとハイドには、互いの痛みを和らげてくれる、一歩を踏み出すきっかけになってくれる…そんな関係にあってほしいです。
    【stand up】「ガラ、休憩だ」

     背後から名を呼ばれ、狼男は足を止めた。気配が背中まで迫って来るや否や、声の主はウンザリだとばかり、息を吐く。

    「休憩って……おれたち、さっきまでコーヒートークに居たんだよな?」

     両名は確かに五分前まで馴染みの喫茶店で寛いでいた。ガラハッドとゾボを頼み、バリスタ、それから偶然居合わせたジョルジと街の噂や騒動について会話を交わし別れたばかりだ。にも関わらず再び休憩を所望するこの友人をガラは訝しんだ。傾き始めた陽のせいかハイドの表情は翳り、どこか居心地が悪そうに見えた。

    「具合でも悪いのか?」
    「……ああ、もう一歩も歩けそうにない。助けてくれ」

     かつて、オークに集団で殴られようが、ストーカーに刺されようが、皮肉を吐いて飄々としていた男が今、明確に助けを求めている。数十年に及ぶ付き合いの中でも初めてのことで、ガラは咄嗟にスマートフォンに手を掛けた。「911」をコールしようとした時、その手を制止したのはあろうことかハイド自身だった。
    1434

    last_of_QED

    DONEガラハイ🐺🦇【As you wish, Mr.Hyde.】
    バレンタインのお話🍫Xにてupしたもの。記録用にこちらにも載せておきます✍️
    【As you wish, Mr.Hyde.】 今にも底の抜けそうな紙袋が二つ、どさりとフローリングに下ろされる。溢れんばかりの荷物、そして良く見知った来訪者を交互に見比べて人狼が尋ねた。

    「なんだこれ」
    「かわい子ちゃんたちからの贈り物だ。毎年この時期事務所に届く。……無碍にも出来ないからな、いくつかはこうして持ち帰るんだ」
    「マジかよ……これ全部か……?」

     愕然とする人狼を横目に、ハイドは手が痺れたと笑うだけだった。今日は二月十四日、いわゆるバレンタインデー。氏に言わせれば、これでも送られてきた段ボールの大半を事務所に置いてきたのだという。

    「さすがは天下のハイド様だ……」
    「まあ、悪い気はしない」

     ソファに腰を下ろし、スリッパを蹴飛ばしてしまうと吸血鬼はくじ引きのように紙袋へと腕を突っ込んだ。無作為に取り出したファンレター。封を開き便箋を取り出すと、丁寧にしたためられた文字の列をなぞった。一通り目を通した後で再び腕が伸ばされる。次にハイドが掴み取ったのは厚みのある化粧箱だった。リボンを解けば、中には宝石にも見紛うチョコレートが敷き詰められていた。どれにしようかと迷う指先。気まぐれに選んだ一つを口の中に放り込んだ時、ガラがおもむろに通勤カバンを漁り始めた。
    1853

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    last_of_QED

    CAN’T MAKE十字架、聖水、日の光……挙げればきりのない吸血鬼の弱点の話。おまけ程度のヴァルアル要素があります。【吸血鬼様の弱点】



    「吸血鬼って弱点多過ぎない?」
    「ぶち殺すぞ小娘」

    爽やかな朝。こともなげに物騒な会話が繰り広げられる、此処は地獄。魔界の地の底、一画だ。灼熱の溶岩に埋めつくされたこの場所にも朝は降るもので、時空ゲートからはささやかに朝の日が射し込んでいる。

    「十字架、聖水、日の光辺りは定番よね。っていうか聖水って何なのかしら」
    「デスコも、ラスボスとして弱点対策は怠れないのデス!」
    「聞こえなかったか。もう一度言う、ぶち殺すぞアホ共」

    吸血鬼の主人を敬愛する狼男、フェンリッヒがすごみ、指の関節を鳴らしてようやくフーカ、デスコの両名は静かになった。デスコは怯え、涙目で姉の後ろに隠れている。あやしい触手はしなしなと元気がない。ラスボスを名乗るにはまだ修行が足りていないようだ。

    「プリニーもどきの分際で何様だお前は。ヴァル様への不敬罪で追放するぞ」

    地獄にすら居られないとなると、一体何処を彷徨うことになるんだろうなあ?ニタリ笑う狼男の顔には苛立ちの色が滲んでいる。しかし最早馴れたものと、少女は臆せず言い返した。

    「違うってば!むしろ逆よ、逆!私ですら知ってる吸血鬼の弱 3923