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    last_of_QED

    @last_of_QED

    ディスガイアを好むしがない愛マニア。執事閣下、閣下執事、ヴァルアルやCP無しの地獄話まで節操なく執筆します。デ初代〜7までプレイ済。
    最近ハマったコーヒートーク(ガラハイ)のお話しもちょびっと載せてます。

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    last_of_QED

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    ヴァルアルの恋のようなそうでないようなお話。リヒ+ティナ要素もあります。フーデス姉妹も好きだ。恋せよ者ども!

    #ヴァルアル
    varial
    #ディスガイア4
    disgaea4

    乙女はもう恋の行方を知っている【乙女はもう恋の行方を知っている】



    「すき、きらい、すき、きらい」

     少女は熱心に手元を見つめていた。どれだけの時間恋占いに勤しんでいたのか、大量の花びらが彼女の周りを取り囲んでいる。そんな光景に、魔界にも花は咲くのだと当たり前のことを彼女は知った。ユイエの花こそ見当たらなかったが、色鮮やかな花々はアルティナの目を大いに楽しませた。

    「デスコさん、これは?」

     聞き覚えのある澄んだ声にデスコは顔を上げる。良く見知った天使の姿を無数の眼に捉え、少女は無邪気に微笑んだ。

    「おねえさまがデスコをどう思ってるか占ってたデス!」
    「恋占いですね? 素敵ですわ。でもこれは……ちょっとやりすぎじゃなくって?」

     アルティナは苦笑いして足元を見下ろした。柔らかな日差しは積み重なる花々の死骸を照らす。幼さとは時に残酷ですらある。

    「だって……何度やっても『すき』になってくれないんデス……」

     これが地獄から遊びに出かけたきり中々戻ってこない理由かとようやく合点がいく。誰かを想い、しょんぼりと下を向く少女の一途さに天使の頬は緩む。

     デスコがおねえさまと呼んだ人物──風祭フーカがデスコに向き合い、姉妹として愛情をもって接しているのは誰の目にも明らかだった。それでも当の本人は不安なのだろう。人の手によって造られた最終兵器、DESCO。ラスボスのその言いようのないいじらしさにアルティナは胸に手を当てそっと目を閉じる。

    「私も一緒に占ってみようかしら」

     小さな乙女のすぐ隣、クローバーの上にアルティナは何も敷かず座り込む。脚に草花が触れくすぐったい。デスコの気が済むまでそばで見守ることを決心するとアルティナ自身も手慰みに目についた花に手を伸ばす。魔界産の花らしく、蔓が小指に絡みついた。

    「アルティナさんは誰に『すき』になってほしいデスか?」
    「えっ?」

     デスコから思いもよらぬ質問が飛んで来てアルティナの肩は跳ねた。とある吸血鬼が脳裏に浮かび、正直な胸はとくんと鳴る。動揺を誤魔化すよう、花弁を指先で摘み始めるがラスボスは逃げ腰の天使を容赦なく追撃する。

    「やっぱりヴァルっちさんデスか?」
    「い、いえ!? 私は特に誰も……『すき!』」
    「ラブの気配がするデス! デスコも負けていられないのデス!」

     花占いに勝ちも負けもありはしない。それでも競うようにデスコはアネモネのような大輪の花を、アルティナはクレマチスに似た蔓性の植物を手に共に占いをスタートさせた。
     ところが、間も無くして二人の指先は完全に止まってしまった。次は「きらい」。残った花びらは一枚。アルティナはその一枚を残したまま、見て見ぬふりをするように茎ごと土へと放り投げた。そして、再び別の花に手を伸ばす。
     続いてデスコの手元もやはり「きらい」で終わる。たくましい乙女はめげずに次の花を手に取る。そしてまた、すき、きらい、すきと恋の呪文を唱えていく。恋する乙女は強いのだ。けれど、その強さにも限りはある。やはり彼女らは乙女なのだから。





     どれだけの時が経っただろうか。どれだけの花が犠牲になっただろうか。二人の心は既に折れかけていた。二分の一の確率だと言うのにどう足掻いても占いは「すき」を指し示してはくれないのだ。

    「きら…い……」
    「きらい……さ゛ぁぁ……」

     何枚の花びらを散らしたのか、最早覚えてはいない。乙女たちは呆然とする他なかった。何度試しても導かれるのは「きらい」。きらい、きらい、の連続。ここまできらいが続けばきっと次に来るのは「すき」のはずだ、そうに違いない。そうしてまた、花を摘み取る。ギャンブラーの誤謬である。ここまで「きらい」を突き付けられてはもう「すき」で埋め合わせるまで後にはひけない、そんな緊張感がいよいよ二人を追い詰める。

    「……何をこんなにムキになってるのでしょうね」

     子どもの遊びだとしてもこうも巡り合わせが悪いと人は不安になるものだ。アルティナは四百年前を振り返り、姿形の変わってしまったとある悪魔を想う。「きらい」も甘んじて受け入れなければならないのだろう。それを突き付けられたようで、彼女は細い指先に力を込める。

    「遅い」

     伸びやかな花々と穏やかな日差し。その景色に不釣り合いな重たい沈黙を破ったのは、苛々とした声だった。
     ヴァルバトーゼの命でデスコとアルティナを連れ戻しにきたフェンリッヒは次に発する言葉を探す。沈痛な二人の表情に、珍しく気まずそうな顔をしてみせた。

    「どんな遊びだこれは……葬式ごっこか?」
    「違います! 恋占いです(デス)!」
    「……アホ臭い。いい加減戻って来い。特にお前だ、ゾンビ取りがドンビになってどうする」
    「そんな言い方しなくたって良いじゃありませんか!」

     ムキになって声を上げたアルティナに狼男は意表をつかれる。驚いて見た彼女の目は心なしか潤んでいる。その隣、デスコに至っては完全に泣きべそをかいており、フェンリッヒは頭を掻いた。

    「ハァ……」

     大袈裟にため息をつくとフェンリッヒは自身の不機嫌を顔に出す。けれど彼が口にしたのは罵詈雑言などではなかったのだ。

    「一度しか言わないから良く聞け。気の毒なノータリンに教えてやろう」
    「ひっぐ……何を教えてくれるデスか?」

     狼男は薄ら笑う。

    「占いの必勝法だ」





     世の中は法則で出来ている。それは自然の中ですら適用されるのだと狼男は語った。例えばそれは花にも言えることで。花弁の枚数は変異等一部の例外を除き、二つの数列によってあらかじめ定められている。「すき」で始める恋占いにおいて偶数の花弁を持つ花を選べば必然的に「きらい」で終わる。奇数の花弁を持つ花ならば勿論「すき」で終わることが出来る。

    「お前たちはよりにもよって偶数枚の花を選び続けたんだろう。よほど想い人とは縁がないんだろうさ」

     嫌味を放ち、意地悪く笑うフェンリッヒ。しかし悪意に気付かぬデスコは目を輝かせ、逆に彼をたじろがせた。

    「フェンリッちさんは物知りデス! なんでそんなこと知ってるんデスか?」
    「……とにかく、ヴァル様が地獄でお待ちだ。とっととしろ」

     フェンリッヒは何かを誤魔化すようにふいと顔を背ける。目の先に生えていたマーガレットを乱暴にちぎると、アルティナとデスコそれぞれに押し付けた。白い真珠のような美しさは意外にも、悪魔の手元に映えて見えた。その悪魔はアルティナが礼を言うよりも先に噛み付くように放つ。

    「いいか、間違ってもヴァル様を想って占いなどするなよ?」

     いつものようにしっかり牽制を入れるフェンリッヒに何故か安堵して、天使は笑った。それに対して狼男はやはり気に食わないと言わんばかりの顔を見せたがそれでも二人が占いを終えるまで一人で帰ってしまうことはなかった。

    「すき、」

     とくん、胸が鳴る。また「きらい」を目の当たりにするのではないか。そんな不安は花びらがまた一枚と減るごとに増していった。
     けれど花びらが残り三枚だけになって、ようやくアルティナは恋の行方を悟る。少し離れた場所にいるフェンリッヒは気怠そうに欠伸をするだけでこちらを見向きもしない。彼はこの花の導く結末を知っていて、寄越したのだろう。それは地獄で帰りを待つ主を待たせないためかもしれない。それでも、構わなかった。悪魔の中の小さな優しさを天使は想う。

     有難うございます、優しい狼男さん。でも、口に出すと怒るだろうから。

     アルティナは心に宿るぽかぽかと温かな気持ちを祈りに変える。祈りは風に乗り、またこの地に花々を芽吹かせるだろう。
     そよ風がフェンリッヒの銀の髪を揺らす。風の吹く方へと振り返れば、ぱちり天使と目が合った。狼男は心底嫌そうな表情を彼女へと作ってみせた。

    「いちいち気色の悪い視線を寄越すな」
    「『すき』! すきデス! おねえさま!」

     その時、デスコが大きな喜びの声をあげる。はしゃいで飛び跳ねる年相応の無邪気さに悪魔は呆れ、天使は微笑んだ。

    「ウフフ。それじゃあ、伝えに行きましょうか。いっぱいの、好きの気持ちを」

     乙女に混じり居心地の悪そうな狼男がまたひとつ、大きくため息をついた。
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    DOODLEディスガイア4に今更ハマりました。フェンリッヒとヴァルバトーゼ閣下(フェンヴァル?執事閣下?界隈ではどう呼称しているのでしょうか)に気持ちが爆発したため、書き散らしました。【悪魔に愛はあるのか】


    口の中、歯の一本一本を舌でなぞる。舌と舌とを絡ませ、音を立てて吸ってやる。主人を、犯している?まさか。丁寧に、陶器に触れるようぬるり舌を這わせてゆく。舌先が鋭い犬歯にあたり、吸血鬼たる証に触れたようにも思えたが、この牙が人間の血を吸うことはもうないのだろう。その悲しいまでに頑なな意思が自分には変えようのないものだと思うと、歯痒く、虚しかった。

    律儀に瞼を閉じ口付けを受け入れているのは、我が主人、ヴァルバトーゼ様。暴君の名を魔界中に轟かせたそのお方だ。400年前の出来事をきっかけに魔力を失い姿形は少々退行してしまわれたが、誇り高い魂はあの頃のまま、その胸の杭のうちに秘められている。
    そんな主人と、執事として忠誠を誓った俺はいつからか、就寝前に「戯れ」るようになっていた。
    最初は眠る前の挨拶と称して手の甲に口付けを落とす程度のものであったはずだが、なし崩し的に唇と唇が触れ合うところまで漕ぎ着けた。そこまでは、我ながら惚れ惚れするほどのスピード感だったのだが。
    ……その「戯れ」がかれこれ幾月進展しないことには苦笑する他ない。月光の牙とまで呼ばれたこの俺が一体何を 3613

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

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    CAN’T MAKE11/5新月🌑執事閣下🐺🦇【俺の名を、呼んで】今、貴方を否定する。
    「呼んで、俺の名を」の後日談。お時間が許せば前作から是非どうぞ→https://poipiku.com/1651141/5443404.html
    俺の名を、呼んで【俺の名を、呼んで】



     教会には、足音だけが響いている。祭壇の上部、天井近くのステンドグラスから柔い光が射し込んで、聖女の肌の上ではじけた。神の教えを広め、天と民とを繋ごうとする者、聖職者。その足元にも、ささやかな光を受けて影は伸びる。
     しんと凍えそうな静寂の中、彼女はひとり祭壇へと向き合っていた。燭台に火を分け、使い古しの聖書を広げるが、これは決してルーチンなどではない。毎日新しい気持ちで、彼女は祈る。故に天も、祝福を与えるのだろう。穢れない彼女はいつか天使にだってなるかもしれない。真っ直ぐな姿勢にはそんな予感すら覚える眩しさがあった。

     静けさを乱す、木の軋む音。聖女ははたと振り返る。開け放っていた出入口の扉がひとりでに閉まるのを彼女は遠目に見つめた。風のせいだろうかと首を傾げれば、手元で灯したばかりの蝋燭の火が揺らめき、何者かの息によって吹き消える。不可思議な現象に、彼女の動作と思考、双方が同時に止まる。奏者不在のパイプオルガンがゆっくりと讃美歌を奏でればいよいよ不穏な気配が立ち込める。神聖なはずの教会が、邪悪に染まっていく。
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