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    山椒魚

    DONEさはんドロライの1周年に初参加で参入させていただこうと書いた話です。
    周年記念の特別企画として色々選べるお題の中から「再会 」をテーマに書き始めましたが、果たして読んでくださった方にそう思っていただけるか自信が・・・・・・。

    捏造設定とチートアイテムが堂々と幅をきかせています。何でも許せる方向けです。
    扇子の行方「また妙な物を欲しがるものだ」

     扇子が欲しいと洛冰河が言い出した。
     少し意外だったが、得心がいかないでもない。
     では、揃いで誂えようかと沈清秋が提案すると、それも嬉しいのですが・・・と冰河は少し言い淀んでから、できれば使い古しがよいのです と言う。
     「師尊が新しいものを誂える折に、今使われているものをいただければ」などと。
     「それでは[[rb:襤褸 > ボロ]]ではないか、遠慮はいらぬよ」
     師に出費させるのを良しとせずに辞しているのか、と沈清秋は思ったのだが。
     「新しいものではなく、師尊が愛用されていたものをご下賜いただきたいのです」と冰河が更に言うので、なるほど形見のようなものかと納得はした。形見とは会えぬ者を偲ぶ物。魔界の統治に絡み遠征を余儀なくされることもあるゆえ、何か師の物を持っておきたいということだろうか・・・・と。
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    山椒魚

    DONE冰河は、それが当たり前の日常になってからは、師尊が起きる頃を見計らって朝食を準備したり出来るようになっていっただろうけれど、最初のうちは何よりも師の機嫌やら反応やらが気になってしまって側を離れられなかったんじゃないかなと。「この弟子に思うところがおありならば、すぐに口にしていただけるようその場にてお待ちせねば」くらいの気負いっぷりで。
    そんなことを思って書いた、まだ冰河の自信が薄かった頃の話です。
    早春 目を覚ました師は、しばらくぼんやりとしたお顔でこちらを眺めていらっしゃる。

     寝惚けているというよりも、記憶がうまく繋がらなくて緩慢に逡巡しているといった風情だ。
     はて?とでも言わんばかりに僅かに眉根を寄せ、斜め左上に瞳を動かした表情は、日頃の清廉風雅な面持ちとは相反した幼さをも感じさせる無防備なもので、無自覚な様子であるのがまた愛らしい。
     そう。師自身はお気付きではないようだが、ごくたまにこういった隙のある一瞬をお見せになるのが、この弟子としては嬉しいやら悩ましいやらトキメキが過ぎて具合悪くなるほどだけれど一周回って結局つまり嬉しいやら・・・・・・
     などと。
     無限ループしそうな気持ちにブレーキをかけつつも、思わず溢れてしまった笑みをそのままに俺が朝の挨拶をすると、師尊も返してくださろうと薄く唇を開き、そこで一瞬、眉を顰めた。
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